転職時の面接で「あなたの短所は何ですか?」と聞かれたことはありますか?短所は自分の欠点ととらえられることもあるため、「正直に言って良いのだろうか...」と不安になる方もいらっしゃいますよね。
そこで、エイペックスのプロフェッショナルサービスチームに所属する人材コンサルタントの河畑 海渡 ウィルソンに、面接官はなぜ短所について質問するのか、高評価につながる回答例やNGとなる回答について解説してもらいます。
ぜひ質問の意図を理解し、答え方をマスターして面接での印象アップにつなげましょう!
目次
面接で短所を聞かれる理由
面接で避けるべき短所のNG回答
面接で使うべき短所の言い換え例
面接での効果的な短所の伝え方
短所について聞かれた場合の回答例
短所が見つからないときはどうしたら良い?
コンサルタントが教える 短所の成功回答例
面接で短所を伝える際の心構えと対策を身につけよう
面接で短所を聞かれる理由

自己分析ができているかを見るため
課題を克服する意欲があるかを知るため
応募している求人とのマッチ度を測るため
面接であえて短所について聞くのは、面接官なりの意図があります。下記に詳しく説明されているこれらの意図を理解すれば、面接で短所を話す際に気をつけるべきことが明確になります。
自己分析ができているか
短所=欠点と思いがちですが、面接で聞かれる短所=「これから自分が克服すべき課題」ととらえましょう。
つまり、短所を認識して人に伝えられるということは、ビジネスにおいてこれから改善すべき課題が見つかっているということです。課題が何かがわかっていれば、それを克服するために努力ができる可能性が高いと会社は考えます。
自分の短所を正しく把握するには、自己分析が必須です。自己分析ができていれば、「私の短所は、細部にこだわりすぎて時間がかかってしまうことです」のように、具体的に短所を述べることができるはずです。
課題を克服する意欲があるか
仕事をしていくうえで課題は誰にでもあり、むしろ大切なのはそれを受け入れ、なおかつ改善しようとする向上心です。短所を伝えたあとは、普段気をつけていることや心構えなど、「改善のために行っている行動」についても必ず伝えましょう。
例えば、「締め切りぎりぎりまで作業をしてしまう」という短所を伝えたとしたら、「タスクを細分化し、スケジュールに細かく落とし込むようにしています」と改善策を述べられれば、前向きな印象を与えることができます。
面接官はあなたが冷静に自分を分析でき、課題を克服しようと行動できる人なのかを見ています。入社後に活躍できることを示すためにも、短所の質問では努力の姿勢をアピールしましょう。
応募している求人とマッチしているか
面接官は、あなたが伝える短所が応募しているポジションの業務内容や求める人物像と合っているかどうかも確認しています。
例えば、営業職を希望しているのに「人と接するときに受け身になってしまう」という短所を伝えてしまっては、営業には向いていないと判断されてしまうかもしれません。また、「遅刻癖がある」など仕事をしていくうえで致命的と思われる欠点もNGです。
短所を伝える際は、応募している企業やポジションにとって不利になる回答ではないか、事前に確認しておくようにしましょう。
面接で避けるべき短所のNG回答
社会人としてNGとなる短所
身体的な特徴に関する短所
仕事と無関係な短所
仕事で必要なスキルが短所
「短所はない」と答える
率直に自身の課題を伝えたとしても、面接官の印象が悪くる可能性のあるNG回答があります。下記で一つひとつ見ていきましょう。
社会人としてNGとなる短所
社会人として身につけていて当然の事柄が欠如していると、面接官にとってはあなたを採用することはリスクととらえられます。例えば、「時間にルーズ」「約束事を守れない」「忘れ物が多い」など、プロ意識の欠如を疑われるような回答は仕事に対して誠実でないと判断されます。
また、ほとんどの仕事は人との協働が必須であるため、「人とコミュニケーションを取るのが苦手」「ついネガティブなことを口にしてしまう」「自分の意見を押し通すくせがある」「新しい環境に適応できない」なども、面接での評価を下げる回答となり得ます。チームワークを乱す可能性のある回答は避けるようにしましょう。
身体的な特徴に関する短所
例えば、「太っている」「背が低い」といった身体的な特徴は改善の余地がなく、業務に直接関係がないため面接での評価に結びつきません。面接官はあなたの人柄や向上心、行動力を見たいのであり、お互いにとって何も得ることのない無駄な回答となってしまいます。
自分の内面的な特性に焦点を当て、それをどのように克服していきたいかを伝えることが大切です。
仕事と無関係な短所
仕事に直接関係のない短所も避けるべきです。例えば、「料理が苦手」「特技がない」など、業務に関連しない短所を述べても面接官にとって評価基準にはなりません。企業が求めているのは、職場での実務能力や改善意欲に関連した短所ですので、業務に関連する短所を挙げるようにしましょう。
仕事で必要なスキルが短所
応募している仕事で必要とされるスキルが欠如していることも、避けるべき答えです。例えば、財務や会計分野の仕事を希望しているのに「細部に注意を払えない」と伝えてしまうと、職種への適性を疑われることになりかねません。短所として挙げる内容が、その仕事でマイナスとなる要素でないか注意してください。

ワンポイントアドバイス:面接官は即戦力を探していますので、ハードスキルよりもソフトスキルを短所として挙げるのがベストです。
「短所はない」と答える
「短所はない」と答えることも避けるべきです。短所を持たない人はいませんし、それを隠そうとする態度は信頼性に欠ける印象を与える可能性があります。誠実に短所を認め、それにどう取り組んでいるかを示すことが大切です。
面接で使うべき短所の言い換え例
面接で短所を答える際は、なるべくポジティブな言い回しに変えると印象が良くなります。
例えば「悲観的」という短所であれば、
「私は慎重すぎる傾向があり、物事に対し最悪のシナリオを考えてしまうことがあります。ただ、常に批判的思考を持つことはリスク回避には必要であり、先日のプロジェクトではそのスキルが役に立ちました。今後も情報を鵜呑みにせず、データなどの客観的事実をもとに行動するよう努めていきたいと思っています。」
というふうにポジティブに言い換えることで、自分の強みに変換して伝えることができます。
以下の表は、一般的な短所を面接でどのように変換して答えるべきかの例です。表から自分に当てはまりそうな短所を見つけたら、面接でどう表現を変えて伝えれば良いのか確認しましょう。
このように短所をポジティブな言い回しにして伝えることで、長所や強みに変換して伝えることが可能です。
※長所を探す場合には、面接で使える「長所一覧」と「仕事への活かし方」が載っている記事をご覧ください。
面接での効果的な短所の伝え方
ここからは、面接での効果的な短所の伝え方をご紹介しましょう。
面接では、相手がわかりやすい回答をすることがポイントです。そのために大切なことは話す順番です。
①結論 → ②具体的なエピソード → ③改善への姿勢 → ④入社後の活かし方 |
①結論を述べる
まず、「私の短所は慎重すぎるところです」など、端的に短所を伝えましょう。
面接では短所の質問に限らず、「結論から述べる」ことが鉄則です。まず話の要点をクリアにしてから説明を始めたほうが面接官もあなたの話を理解しやすく、コミュニケーション能力が高い人という印象を与えられます。
②具体的なエピソードを話す
なぜそれが短所だと思ったのか、仕事上での経験など具体的なエピソードを交えて説明しましょう。具体性を持たせることで、面接官に対し信憑性を増すことができます。
例えば、「締切が迫った状況でも細部が気になり、慎重に行動して納品がぎりぎりになってしまったことがあります」といった実例を挙げることで、面接官にあなたの特性を理解してもらいやすくなります。

ワンポイントアドバイス:具体的なエピソードを話すことで、面接のために作った短所ではなく実際にあなたの課題になっていることをアピールできます。
③改善策を述べる
短所を述べるだけでは回答として不十分であり、それをどう克服しようとしているか(または思っているか)具体的な改善への意欲を伝えましょう。
例えば、「品質を重視する点は長所として残しつつも、状況に応じて素早い判断が下せるようチームメンバーからのフィードバックを積極的に活用したり、タスクの優先順位をつけるようにして改善しています」など具体的な取り組みを伝え、課題を成長のチャンスとしてとらえられる前向きな姿勢を印象付けることができます。

ワンポイントアドバイス:改善のための努力をアピールしたいのであれば、実例を挙げるのが一番効果的です。 Tを除くSWOT分析を使って自分の特徴を書き出し、書いたポイント/特徴ごとに例やストーリーを思いつくようにする方法がおすすめです。 ポイントは、弱点を完全に克服したことを伝えるのではなく、弱点を改善しようとしているプロセスを示すことです。
④入社後の活かし方を示す
最後に、短所を改善した経験や努力の仕方を入社後どう活かしたいかまで説明できると、より良い回答になります。
例えば、「御社においても品質とスピードのバランスを維持しながら、タスク管理をより徹底し改善を図っていきたいと思っています」といった具合に入社後についてふれることで、面接官に対し自身の成長意欲の高さが会社にとっても利益となることをアピールできます。
短所について聞かれた場合の回答例

面接で短所を効果的に伝えるには、具体的なストーリーを使ってその短所をどう改善し、成長に結び付けたかを示すことが大切です。
以下に、一般的な短所の回答例を紹介します。①結論→②具体的なエピソード→③改善への姿勢→④入社後の活かし方の順番になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
せっかち
私の短所は「せっかち」なところです。
現在は時短勤務のため時間内に作業が完了するよう非常に効率を重視しており、そのぶんチームメンバーにも同じスピード感を求めてしまうことがあり、プレッシャーを与えているのではないかと反省しました。
チームの育成にはコミュニケーションが最も大切であると立ち返り、ビデオコールや対面でのミーティングをなるべく心掛けたりと、気軽に相談できる雰囲気づくりを模索している最中です。
御社においても自身の時間管理術を最大限に活かしつつ、チームを第一に考えて主体性のあるチームづくりに努めていきたいと思っています。
心配性
私の短所は「心配性」なところです。
ミスをなるべくゼロに抑えたいので、提案書や成果物については特に何度も確認してから送付するようにしていおり、その分遅くまで残業することが多くあります。
品質を重視するあまり確認に時間がかかってしまうことが課題と感じており、今年から作業シートを作成しチームと共有することにしました。企画書であれば各フェーズでチェックポイントを定め、誰かが確認したらチェックするようにして漏れがないようにしています。
御社においては案件が多くスピードも期待されている環境だと思いますので、自分の課題である生産性の向上を引き続き目標として貢献していきたいと思います。
マイペース
私の短所は、「マイペース」なところです。
同僚からはよく「集中力がある」と言われますが、一つの作業に没頭してしまう傾向があり、早期に完了するタスクとそうでないタスクに差がでてしまうことが多くありました。
高い精度が求められる職種のため作業に集中できる良い点は残しつつ、現在は重要度と緊急度によって優先順位を設定してから仕事に着手するよう心掛けています。
御社においてはキャリアアップを目指して精進したく、質とスピードの両立を心掛けながら成果を出したいと思っています。
人見知り
私の短所は「人見知り」なところです。
顧客に対してはビジネス目標達成のために割り切れるため、日々のコミュニケーションやプレゼンテーションも問題なく行えるのですが、より人と人との関係が求められる社内の場合は消極的になってしまうことがあります。
社内での交流を増やすことで他のチームの仕事が知れたり、違う角度からの意見が聞けたりと自分の仕事にメリットが多いと感じているため、先月から他部署とのミステリーランチに参加したり人見知りを軽減できるよう少しずつ努めています。
営業の仕事は非常にやりがいを感じていますので、御社においても結果にこだわりつつ、社内行事などに積極的に参加して楽しみながら仕事ができればと思っています。
優柔不断
私は「優柔不断」なところがあるのが短所です。
自分はポジティブシンキングの特性があり、さまざまな意見の良い側面を見ることが得意でどれも捨てがたい案だと思ってしまいます。一度、ベンダーの選択で迷いすぐに決定を下せなかった事案があり、良かったほうが先に他社と契約してしまい好機を逃したことがありました。
決定を下せない理由は自身の志向にとらわれ過ぎることだと反省し、現在はメリット・デメリットのリストを作成したりとなるべく客観視できる材料を集めて決定を下すようにしています。
御社においても、チームメンバーの意見なども聞きつつ客観性のある判断ができるよう努めていきたいと思っています。
短所が見つからないときはどうしたら良い?
自己分析を行い、苦手なことや失敗したことから探す
家族や親しい友人に聞く
長所を短所に言い換える
自分の短所が何かわからないという人は、まず自己分析を行ってみることが大切です。今までの人生や仕事のなかで失敗したこと、上手くいかなかったこと、苦手だと思っていたことなどを一度棚卸ししてみると、自分でも気づかなかった短所が見えてくるかもしれません。整理した内容はそのまま面接でエピソードとして使うことができますので、おすすめの方法です。
また、家族や親しい友人に聞いてみる方法もあります。周囲の人に短所を聞く場合には、「なぜそう思うのか」「自分のどんな言動を見てそう思うのか」など具体的なエピソードを交えた理由まで聞くようにしましょう。そうしないと、面接で深堀りされたときに表面だけの理由では上手に答えることができません。
ほかに、長所を手がかりに短所を見つける方法もあります。長所と短所は表裏一体であり、自分が長所と思っていることをネガティブに言い換えるだけで短所になります。例えば「リーダーシップがある」ところが長所だとすれば、「目立ちたがり」「仕切りたがり」という短所に置き換えてエピソードを見つけると良いでしょう。
ちなみに短所だけでなく、「あなたの長所と短所を教えてください」という質問もよくありますので、こちらの記事で長所の質問についても事前に対策しておくようにしましょう。

ワンポイントアドバイス:自己分析を通して自分のことをより理解していく過程で、短所や長所についてもより現実味をもって面接官に話すことができます。まずは自己分析をしっかりと行いましょう!
コンサルタントが教える 短所の成功回答例
ある外資系企業のタレントアクイジションパートナーに応募されてきた方がいらっしゃいました。人材採用の経験は浅いのですが、リクルーティングコーディネーターとしての経験が豊富な方でした。
採用面接まで進み短所の質問が出た際、『自分の欠点のひとつは、自己主張が強くアグレッシブであることです』と答えたそうです。コーディネーターとして採用担当者と候補者の面接を設定することが仕事でしたが、魅力的な候補者の場合他社との面接も着々と進行していることが多く、忙しい採用担当者に遠慮していると面接日程が遅くなってしまうそうです。良い候補者をつかまえておくために採用担当者の都合をアグレッシブにフォローしなければならないことが多く、そこを欠点でありながら長所として面接で答えたそうです。
結果、希望のポジションは経験不足で不採用になってしまいましたが、欠点の話であげた『自己主張』『アグレッシブ』の資質が評価され、その会社の別のポジションで面接のオファーがありました。
このように、面接ではどんな話が面接官に評価されることになるのかわかりません。ぜひ、面接官に自分という人間を理解してもらえるよう率直で誠実な姿勢を保ちましょう。
面接で短所を伝える際の心構えと対策を身につけよう
短所の質問は、答え方次第で高評価にも低評価にもつながりる質問です。そのためにもしっかりと自己分析を行い、自分の短所を理解して回答を準備するようにしましょう。あなたが自分を客観視できる人なのか、課題を解決しようと努力できる人なのかを面接官は見ています。
以下の点を意識しながら、短所についての回答を準備してみてはいかがでしょうか。
自己分析を通して短所を見極めると同時に、ポジティブな言い回しに変換しておく
短所は仕事に関係があり、致命的なものでなく、内面にフォーカスした改善の余地のあるものを選ぶ
仕事上での具体的なエピソードを用いて、短所を克服するプロセスを説明する
短所から得た学びを、次の仕事でどう活かせるかを考える
面接で短所を答える際には、ポジティブに変換して伝えることが何より大切です。あなたの成長意欲が面接官に伝わるようしっかりと準備をして臨みましょう。面接対策に不安を感じる方は、ぜひエイペックスの無料キャリア相談からスタートしてみてください。経験豊富な人材コンサルタントが、あなたの就職活動を一貫してサポートいたします。
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