企業のIT化/DX化の急速な拡大などにより、IT営業は現在非常に需要が伸びている職種です。
IT営業の仕事内容は、ITソリューションの提案から導入後の顧客サポートまで幅広く、形のない商材を扱うためにクライアントにその価値を分かりやすく伝える能力も求められる高度な営業職といえます。
年収も増加傾向にある活況な転職市場ですが、そのぶん転職を希望される方も多く、採用選考でライバルと差をつけるためにも戦略的に転職活動を行うことが成功の秘訣となります。
そこで本記事では、エイペックスのIT業界に在籍する人材コンサルタントの田村 亮太さんに、IT営業とはどんな仕事なのか、その特徴や扱う商材、求められるスキル、平均年収、キャリアパスなどとあわせて、未経験者でも転職が可能なのか、IT業界特有の事情を含めた転職成功のポイントについて教えてもらいました。
目次
IT営業とは?
IT営業の主な仕事内容
セールスエンジニアとIT営業の違い
ITコンサルタントとIT営業の違い
IT営業が扱う製品・サービス
IT営業に求められるスキル
IT営業に向いている人
IT営業の平均年齢
IT営業の平均年収
IT営業のキャリアパス
未経験からIT営業に転職するには?
IT営業の転職を成功させるコツ3選
IT営業とは?
IT営業とは、ITに関連する製品やサービスを顧客に提案・販売し、顧客のIT課題や事業課題の解決をサポートする専門職です。
企業の規模や営業戦略、ターゲット市場に応じて多様な名称で採用募集されることがあり、例えば、
アカウントエグゼクティブ(AE):顧客との継続的な関係構築や新規契約の獲得を重視する営業
エンタープライズセールス:大企業をターゲットとした営業
ストラテジックセールス:顧客の根本課題の解決に向けた戦略的な提案活動を行う営業
という名称で募集される場合もありますが、すべてIT営業です。これらの名称は、担当する業務内容や求められるスキル、営業スタイルの違いを反映しており、企業ごとの採用戦略に合わせて使い分けられています。
IT営業が扱う商材はハードウェアやクラウドサービス、システム開発など幅広く、製品やサービスに関する専門的な知識を活用しながら、企業の業務効率化やコスト削減などのビジネス課題に対して最適なITソリューションの提案を行います。 例えば、製造業の生産管理システムを改善したいという要望であれば、既存業務フローの分析からエンジニアチームとの協働による最適化案の提示、プロジェクト進行中の顧客対応、システム導入後のアフターフォローまでを包括的にサポートするのが仕事です。
特に近年はSaaSの普及により、顧客に継続して自社製品を利用してもらうことで持続的な利益が創出されるビジネスモデルが主流です。顧客に契約を継続してもらうには信頼関係の構築が絶対条件であり、自社と顧客をつなぐIT営業の重要性はいうまでもありません。
IT営業の主な仕事内容
IT営業の営業先(顧客)は各業界の企業です。IT営業は新規もしくは既存顧客のITニーズをヒアリングし、その課題に対し自社製品がどう役立つのか、メリットを伝えることで製品を導入してもらうのが仕事です。
もちろん営業ですから売上がどの程度達成されたかが評価基準であり、製品導入後も長期的な契約や次の案件につなげるため、顧客との継続的な関係構築を目指していきます。
IT営業の仕事内容をフローで分けると、以下のようになります:
新規顧客の開拓
顧客が抱えるIT課題のヒアリング
プレゼン機会の獲得と資料作成
社内チームとの協働によるプレゼンの実施
案件獲得・契約交渉、契約書等の書類作成
プロジェクト進行中の顧客フォロー・社内チームとの窓口
導入後のアフターフォロー・長期的な関係の構築
セールスエンジニアとIT営業の違い
IT営業に近しい職種で、「セールスエンジニア」という職業があります。
IT営業が、見込み客の獲得やアカウントマネジメントを通じた契約の獲得・売上の達成に特化した職業であるのに対し、セールスエンジニアは製品や技術の専門知識を活かして営業活動を支援する仕事です。
つまり、営業が持っていない豊富なIT知見を顧客対応や信頼関係の構築に活かし、営業とともに案件獲得・ビジネス拡大を目指すのがセールスエンジニアで、この点がIT営業との違いです。
※詳しくは、【セールスエンジニアとは】営業との違いや仕事内容、年収、求められるスキル、転職のコツなどをわかりやすく解説!の記事をご覧ください。
ITコンサルタントとIT営業の違い
ITコンサルタントも、IT営業と同様に顧客のIT課題を抽出し、課題解決のためのソリューションを提案するのが仕事です。
ただ、案件獲得・売上目標の達成が目的となるIT営業と違い、ITコンサルタントは企業のIT課題を特定し、IT構想の立案・提案、新システムの導入支援などにより顧客のビジネスにイノベーションを創出するのが目的となります。
課題の特定・解決案の提示の初期段階から、プロジェクト進行中も開発に深く関与するため、顧客や市場の分析力、経営的視点を含めた課題解決力、高度なITスキル、プロジェクトマネジメント能力など非常に高度で広範なスキルが求められます。
※詳しくは、【ITコンサルタントとは】仕事内容、年収、転職先は?必要なスキルやトレンドなども徹底解説!の記事をご覧ください。
IT営業が扱う製品・サービス

IT営業が取り扱う商材は企業により異なり、ハードウェアやシステムインテグレーション、クラウドサービスなどさまざまです。
各商材や商材まわりの知識を深め、専門性を高めることが的確な提案や顧客の信頼獲得につながり、最終的には売上アップ・成績アップにつながっていきますので、以下でIT営業が取り扱う商材の例を見てみましょう。
ハードウェアとインフラ
企業・組織の運営には、パソコンやサーバー、ネットワーク機器などの物理的なIT機器が欠かせず、それらを商材として扱います。
さまざまな企業・組織をターゲットとしていますが、特に学校や市区町村の公的施設をターゲットとしていることが多くあります。一般企業と比べてIT機器の納入数も多く、導入時の環境構築や納入後の保守管理も担えることから売上が計上しやすく、長期的なビジネスになるためです。
また、システムインテグレーションの一環で、ハードウェアの購入やインフラ構築を行うケースもあります。大規模なシステムリプレースの案件では、社内のインフラ環境も丸ごと変える案件も少なくありません。システム開発を請け負う中で、自社が取り扱うハードウェアも合わせて購入してもらい、インフラ構築も実施します。
インフラ更改の案件では、現在のサーバー環境からクラウド化のデータ移行を請け負うケースもあります。AzureやAWSなど各種サービスや契約形態などを提案して、要件定義を経て最終的な形を決定します。各種サービス側がサーバーの保守管理やセキュリティを担保するため、インフラ環境の入れ替えよりは負担が少なく済みます。
ハードウェアやインフラ構築、クラウドサービスへの移行は競合との差別化が難しく、顧客の業務理解と技術的な知見を組み合わせた提案力が求められます。特に大規模なインフラ案件では、導入後の保守・運用も含めた長期的な視点での提案が重要です。
システムインテグレーション(Sler)
SIer(エスアイーアー)営業は、コンサルティングから設計・開発・運用・保守まで、システム開発の業務を一括で請け負う提案を行うのが基本で、高度な専門的知識や経験が求められます。請け負う案件の規模はさまざまであり、コンサルティングから運用・保守までのすべてを請け負う案件もあれば、システム開発だけのスポット案件もあります。
大手SIer企業に所属しているIT営業であれば、大規模案件の提案や受注活動が主な業務ですが、中小SIer企業の場合は、事業会社だけでなく大手SIer企業に対しても提案活動を行います。自社の開発チームのスキルや経験値をアピールして、大手SIer企業が受注する案件の二次請け・三次請けとして参画を目指します。
システム開発は継続して行われる傾向があり、一度案件を受注できれば中長期間に渡って売上が期待できます。案件終了後や案件の谷間で、タイミングを見計らってクライアントや他のSIer企業を訪れ、要望や相談事のヒアリングをすると次の案件につながりやすくなります。
先端技術ソリューション
人工知能やIoT、メタバースなどの先端技術をメインに扱い、クライアントの課題解決を提案するIT営業です。先端技術により、現場のリアルタイム分析や予測分析による意思決定支援、リアルとバーチャル空間との一体化など、顧客のビジネスモデル変革につながるソリューションを提供します。
AI・人工知能と既存業務のつながりが一般的になりつつありますが、IT営業としてもう一歩踏み込んだ業務改革の提案が求められます。たとえば、クローズドな空間にAIサービスを構築して機密情報を含んだ文章の生成・チェックを可能にし、クリティカル業務にも役立つようなAI・人工知能の提案などがその例です。
先端技術は社会実装がまだ発展途上の分野も多く、ターゲット企業がアーリーアダプターの場合は提案内容がスムーズに受け入れられることが多い一方、実績を重んじる企業では営業活動が難しいことが多くあります。導入事例が少ない場合でも、実績を増やしつつ、社会的な普及活動やサービスの価値創造にも力を入れる必要があります。
受託開発
受託開発の営業は、Webサイトやモバイルアプリケーション、業務管理システムなど顧客要件に基づいたカスタム開発の提案活動を行います。技術トレンドの移り変わりが激しい分野であるため、常に最新の手法など知識のアップデートが求められる商材です。
受託開発の営業は、以下の手法を取りながら提案活動や案件の受注につなげます。
大手企業や既に取引のある企業に紹介してもらう
小規模の案件を提案して受注実績を積み上げる
受託開発は性質上開発が続く傾向にあるため、一度受注すれば継続的な案件が期待できます。案件受注には、開発直後や安定運用が続いているタイミングでシステム担当者にヒアリングをかけると、新しい要望が伺いやすくなるでしょう。
小中規模がメインの受託開発では、ときおりWebサイト開発や業務アプリの大規模案件を依頼されるケースがありますが、受注にはリスクが伴うため注意が必要です。Webサイトの場合は、アクセス過多に対する対策など本来企業として得意でない分野まで請け負うリスクがあるなど、慎重を期すことが求められます。
また、企業側からすると知名度の低い企業にカスタマイズ開発を依頼するのは技術力や実績、企業の継続性などの面で不安視されるため、営業活動は知名度の点で苦労するケースが少なくありません。
パッケージソフトウェア
パッケージソフトウェアの営業は、業務効率化ツールやERPシステムなど、すでに開発済みの汎用的なソフトウェア製品を提案します。
パッケージソフトウェアの営業手法は大きく分けて2種類あり、企業によって片方もしくは両方について収益を上げています。
ノンカスタマイズ型の営業手法:パッケージ化された製品に対してカスタマイズを入れない営業手法で、提案が刺さる・刺さらないがはっきりしており、業務分析と改善をセットで提案するなど営業活動に工夫が求められます。
カスタマイズを前提としたパッケージ製品の営業手法:パッケージ製品の導入には多くの競合が集まっており簡単に受注はできないため、業務への適合性をアピールしつつ、競合より安い価格を提示することで受注を実現します。導入後はクライアントからの要望をできるだけ拾い上げるなど、手厚い導入支援やカスタマイズ開発を多く実現することで長期的な収益を確保します。
IT営業が取り扱う製品・サービスの例を挙げましたが、商材は世間のトレンドやテクノロジーの進化に合わせて変化していくことも忘れていけません。IT営業である限り、長期間に渡り同じ商材で営業を続けていくことはほとんどないでしょう。
IT営業に求められるスキル
では、自社製品や商材まわりの知識のほかに、市場価値の高いIT営業になるためにはどんなスキルが必要とされているのでしょうか?
他の一般的な営業職とは違い、IT営業は単にモノを売る営業ではなく、デジタルアーキテクトとしての役割を担えることが求められます。すなわち、クライアントの課題解決やDX推進などを実現するための知識、提案力、説得力を持てる人材が、付加価値の高いIT営業といえるでしょう。
ヒアリング力と提案力
クライアントが導入したくなるような最適なソリューションを提案するためには、企業が抱える課題を正確にヒアリングできる力が必要です。
クライアントが明確に捉えている課題はもちろん、企業も気づいていない潜在的な課題を拾い上げる力も欠かせません。明示的なニーズを満たしつつ、潜在課題の分析と解決策を提案してこそ、他社との差別化につながります。
また、IT営業にはソリューションの提案にも一工夫が求められます。ソリューションの導入のメリットは理解されても、実際には莫大な金額を要することから案件受注は容易でないのが普通です。導入に対する投資対効果を具体的にまとめあげるなど、クライアントがスムーズに承認できるよう創意工夫のあるプレゼンや提案が求められます。
IT営業にありがちなミスとして、顧客が抱える課題や事業目標を正確に理解することなく提案だけを行ってしまうことがあります。単なる製品やサービスの売り込みだけでなく、課題解決と事業効率を重視した提案をしてこそ長期的な関係構築につながり、実績を積み上げていくことができるでしょう。
コミュニケーション能力と調整力
案件受注後は、プロジェクトの進行管理をクライアント側に立って行っていくのも営業の仕事です。
プロジェクトの進行中は、開発チームや外部パートナーなど多くの関係者との協働が発生します。スケジュールの遅延やリソース不足、仕様変更や追加予算確保の必要性などさまざまな問題が発生したり、逆にクライアントからも追加の要求が出てくることもあります。
IT営業は、チーム、クライアントともに密接なコミュニケーションを保ちながら迅速に状況を把握し、関係者の意見をまとめて適切に対応しなければなりません。クライアントのニーズを満たしつつチームの意見を調整し、双方が満足するような進行管理を行う調整力が重要になります。そうすることで、クライアントに安心してプロジェクトを任せてもらうことができ、長期的な信頼関係の構築につながっていきます。
基本的なIT知識とITへの好奇心
クライアントの課題把握とベストなソリューションの提案には、源泉となるIT知識が欠かせません。IT知識は自社製品だけでなく、クライアントの課題把握のためにIT全般の知識が必要とされ、それがなければ継続的な案件受注は難しくなり仕事を継続していくのがきつくなるでしょう。
クライアントとの関係性が長くなるほど、クライアントはIT営業にデジタルアーキテクチャとしての役割を強く期待するようになり、IT営業の提案に頼る傾向があります。自社製品だけではなく、最新のテクノロジーや昨今のトレンドなどITへの興味関心を持ち、クライアント側が思いもしない提案ができるとさらに顧客からの信頼を獲得できるでしょう。
企業により英語力
IT営業は、多くの外資系企業から募集が出ており年収も高い傾向にあります。企業によって英語力が必要なIT営業職もあり、応募を考える場合は英語力の習得に努めましょう。
英語力が必要になるIT営業はグローバルアカウントを担当する場合で、クライアントとの折衝が可能なレベルが求められます。
また、外資系企業ではマネージャー以上のシニア層になるとグローバルレポーティング業務が課されることが多く、メールやWebを通じたコミュニケーション能力が求められることが多くあります。最低でも日常会話レベル(TOEIC600点~700点以上)かそれ以上を求められることが多いでしょう。
以下は、IT業界の転職者(エンジニア含む)の英語力の分布図です。多くの業界同様、IT業界においても英語力が高いほど年収も高い傾向にあります。

IT営業に向いている人
ではここで、IT営業に向いている人の資質を見てみましょう。自分が下記に当てはまるか、参考にしてみてください。
成果主義の人
IT営業の最大の魅力は、そのキャリアとしての可能性です。商談は難しいぶん学ぶことも非常に多く、経験を積んでいけば高度な営業人材として市場価値を高めることができます。
成功すれば高年収での昇進や転職の可能性も非常に高く、さらにそこから大きなキャリアアップも実現可能です 。そのため、自らの成果が評価となって明確に表れるのを好む人、キャリアアップを目指したい人に向いているといえるでしょう。
顧客志向の考えができる人
クライアントの課題解決をメインミッションとする以上、顧客志向の考えが出来る人がIT営業に向いています。
クライアントが抱える真の課題を把握するためには、クライアントの事業に対する強い関心が必要です。表面的な課題以上に強い関心を持ってクライアントに携わると、顧客に対する解像度が上がり真の課題発見に近づきます。
真の課題解決のためには、提案するソリューションも自社製品だけでなく、ときには他社製品・サービスを提案することもあるでしょう。直近での売上とはなりませんが、そうした顧客志向の姿勢がIT営業としての評価を高め、信頼関係に基づく長期的な取引につながっていきます。
粘り強さとスピード感のバランス感覚がある人
IT投資には多額の費用を要するため、クライアントの意思決定までには長期間のフォローアップが必要となります。短期的な成果に固執せず、長期的な関係構築を通じて成約に結びつける忍耐力のある人が向いているでしょう。
一方で、投資意欲が高いクライアントに対してはスピーディーな対応が大きな売上につながるため、スピード感も重要です。クライアントの状況を的確に判断し、アプローチを変えられるバランス感覚に優れた人が向いているといえるでしょう。
スピードの速い業界で成長できる人
IT業界は常に新しい技術やサービスが生まれているため、業界の成長に合わせて自身をアップデートできる人が向いています。
新しい技術やサービスを理解することは、課題解決やソリューション提案のためだけでなく自身の業務のためにも重要です。昨今ではデータ活用やAI技術を活用した業務が増えており、より論理的でスピーディーな業務が可能となっています。
付加価値の高いIT営業になるためにも、最新のテクノロジーを学ぶ意欲があるかどうかはとても重要です。
IT営業の平均年齢
では、IT営業に就く人はどのような年齢層の方が多いのでしょうか?
以下は、エイペックスに登録するIT営業(スタッフレベル)の方の年齢分布図です。

最も多いのが「30~34歳(26%)」である一方、50歳以上も多く(22%)、ベテランと若手の二極化が見られます。20代・30代の合計が48%とほぼ半数で、40代・50代でもスタッフレベルで現場で働く方も多いことから、ある程度の社会経験を積んでキャリアの後半からIT営業へ転身する方も多いことがわかります。
IT営業の平均年収
では、スタッフレベル(マネージャー以上を除く)で働くIT営業の平均年収を見てみましょう。
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年収1,000万円未満が26%である一方、2,000万円以上が18%と、同じスタッフレベルでも収入格差があるのがわかります。中間層(1,200万円~1,600万円未満)も30%と高く、経験年数などキャリアステージによる年収の違いが見られます。
ここで年収を細かく分けて見てみましょう。以下は、年収を構成する基本給とボーナスの平均額を表した図です。


ボーナスを抜かすと基本給は1,000万円未満が57%と過半数を占め、1,400万円以上が13%と少数であり、総支給額に占めるボーナスの重要性が浮き彫りになっています。
実際にボーナスの平均支給額を見てみても、高額のボーナス(600万円以上)を得ているスタッフレベルのIT営業が37%おり、反対に100万円未満の社員も30%と、IT業界では業績連動の報酬体系が確立されていることが伺えます。つまり、きちんと成果を上げれば高額なインセンティブ、年収が期待できる職業といえるでしょう。
IT営業のキャリアパス
成果がそのまま年収に反映されやすいIT営業ですが、実績を積んだあとはどのようなキャリアパスが考えられるのでしょうか?
IT営業として成功すればそこから描けるキャリアパスは豊富にありますが、自身の適性や志向に合わせてしっかりとキャリアプランを練ることが大切です。
以下でIT営業の代表的なキャリアパスで見てみましょう:
営業管理職:スタッフからチームリーダー、そこからマネージャー、ディレクターなど、管理職へのステップアップはIT営業の王道のキャリアパスです。個人の営業スキルに加え、チーム全体の生産性向上や人材育成の能力が求められます。IT営業は個人の業績が重視されがちですが、全体の最適化を図れることが求められるポジションです。
年収は外資系企業の場合、マネージャーレベルで2,000万円~、ディレクターレベルで3,000万円~と高年収が期待でき、大きなキャリアを獲得することができます。ITコンサルタント:多くのソリューション導入の経験から、企業に合わせたソリューション提案・導入をリードするITコンサルタントのキャリアもあります。技術と営業のハイブリッドポジションとして市場価値が高まっており、キャリアチェンジには技術的な知識を上げるとともに、クライアントの事業や業界への深い理解も必要となります。
ITコンサルタントの年収は、経験1年~3年のジュニアレベルの場合は300万円~600万円程度ですが、経験3年~7年のミッドレベルで600万円~1,000万円、マネージャー・ディレクターレベルになると1,500万円~2,000万円以上になります。事業開発:既存事業での経験を活かし、新たなビジネスモデルやサービスの立ち上げを担当するキャリアです。事業責任者やCXOポジションなど上級のポジションが想定され、技術的・営業的知識だけでなくマーケット全体を俯瞰し分析できる高いレベルの能力が求められるため、高い年収レンジが期待できます。
未経験からIT営業に転職するには?

国内のIT市場は拡大傾向が続いています。富士キメラ総研の調査によると、2023年のDX関連の国内市場規模は4兆197億円であり、2030年にはその倍の規模になることが予想されています。
それにともないIT営業の需要も増加しており、経験豊富な即戦力人材のニーズが高い一方、未経験者でも応募が可能なポジションも多く存在します。ITの専門知識がなくても、入社後の研修やOJTで学べる企業も多いためです。
未経験者がIT営業に応募する際のアピールポイントとしては、
他分野での営業としての実績があること
ITに興味があり学ぶ意欲があること
なぜIT営業になりたいのか志望動機がしっかりしていること
が挙げられます。
未経験者の場合は、特に戦略的に転職活動を進める必要があります。以下の3つのポイントを考慮しましょう。
①未経験者が挑戦しやすいポジションに応募する
IT業界のなかでも、未経験から転職しやすい職種や分野からスタートすることを目指しましょう。習得すべき知識のハードルが低いぶん年収は低め(~900万円/1,000万円)からのスタートとなりますが、まずはIT業界での経験を積むためには良い選択肢といえます。
インサイドセールス:オフィス内で、電話やメールを使用した非対面の営業活動を行うポジションです。顧客との最初のコンタクトとしてリードの育成から商談化までを担当し、商談のアポイントを取って営業につなげていくのが目的です。深い技術的知識がなくても始められ、入口として最適です。
BDR(Business Development Representative):インサイドセールスの一種で、ターゲット企業をリストアップし、電話やメール、DMなどを活用して新規顧客を開拓するアウトバウンド型の営業職です。見込み客の発掘や初期コンタクトを担当し、有望な見込み客を発見したら営業担当に引き継ぐ役割です。特にSaaS企業で需要が高く、安定的な売上創出を目指しエンタープライズ企業をターゲット顧客としています。
SDR(Sales Development Representative):インサイドセールスの一種で、自社サイトの問い合わせフォームや商談会など、オンライン・オフラインで獲得したリードを商談につなげるインバウンド型の営業職です。主にSaaS企業が中小企業をターゲットとして募集する職種です。企業からの問い合わせがあり、購買意欲が高い状態であるため受注まで時間がかからない一方、売上も小規模になる傾向があります。
どの職種も、CRMやデジタルツールを活用して顧客情報を管理し、営業プロセスの効率化を目指して設置されている職種です。顧客との効率的なコミュニケーションを通じて、商談機会の創出を目的としています。
②IT関連の資格取得を目指す
IT関連の資格があると、取得の過程でIT業界やIT技術についての知識が習得できるのでおすすめです。また、未経験からIT営業になる熱意を示すこともでき、採用に至る確率が高まります。
未経験者におすすめのIT関連資格:
ITパスポート試験
基本情報技術者試験
セールススキル検定 など
※ITスキルの詳しい内容は、「【ITスキルとは?】ITスキルの評価指標とエンジニアが習得したいスキル一覧」をご覧ください。
③IT転職に強い転職エージェントを利用する
転職を成功させるポイントの最後は、専門的な知識や採用動向に精通したIT業界に特化したチームがある転職エージェントを利用することです。ITの転職市場は非常に活発であり、移り変わりのスピードが速い業界のトレンドに対応するためには、プロの力を頼って情報収集し、アドバイスをもらうのが効率的です。
IT営業の転職を成功させるコツ3選
高い年収も狙えるIT営業ですが、転職を成功させるためには業界特有の選考ポイントを理解し、自身の強みを効果的にアピールすることが重要です。
IT営業に応募する際は、
面接官の印象に残る志望動機を作成する
自己PRで自身の強みをアピールする
IT業界に特化した転職エージェントを活用する
の3点を特に考慮に入れましょう。
①面接官の印象に残る志望動機を作成する
単なる待遇面や安定性ではなく、業務の本質に対する理解と熱意を示す志望動機であることが肝心です。
「顧客企業のDX推進に貢献したい」
「〇〇分野でのAI活用について深く探究したい」
「御社の技術で〇〇分野の問題を解決する一翼を担いたい」
「最先端技術に携わることで自身も成長したい」
「XaaSビジネスに関心があり、この分野で成功を収めたい」
「顧客のビジネスに寄り添う課題解決型の提案が好き」
「まだ社会認知度が低いこの分野で活躍し、パイオニアになりたい」
このような志望動機に、自身の具体的なエピソードを交えると説得力が増します。詳しい志望動機の作り方は、「面接で志望動機を聞かれたときの正しい答え方【回答例文つき】」でご覧ください。
②自己PRで自身の強みをアピールする
魅力的な求人には、多くのライバルが応募してきます。多くの応募書類のなかから採用担当者の目を引くには、自身の強みが表現された説得力のある自己PRが必要です。
自己PRの作成には、「数値を使った具体的な営業実績」「提案力と営業力」「折衝力と調整力」「IT技術への理解」をバランスよく盛り込み、多面的な評価を得られるよう努めましょう。
数値を使った具体的な営業実績:「年間売上目標120%達成」「新規顧客開拓で前年比150%の契約数増加」「3年連続年間優秀営業賞受賞」など、定量的な実績を入れます。
提案力と営業力:特にソリューション型の営業を主体とするIT営業には、顧客の経営課題・IT課題に応える提案力が非常に重要です。ヒアリングからプレゼンテーション、クロージング、交渉までをどのような手法で行ってきたのか、自身のスキルとしてアピールしましょう。難航する案件をどのように成約に導いたのか具体的なエピソードがあると、自身の優れた営業力を証明できる事例となります。
折衝力と調整力:複数のステークホルダーの利害を調整した経験など、IT営業に必要な折衝力や調整力を具体的なエピソードで証明します。「開発部門と営業部門の認識の違いを埋め、全社プロジェクトを成功に導いた」といったエピソードがあると、橋渡し役としての適性を示せます。
IT技術への理解: IT関連の資格や学習経験、業務での技術活用事例などを挙げ、技術への理解力をアピールします。「業務効率化のためにRPAを独学で習得し、部署内の定型作業を自動化した」といった実践的なエピソードがあると高評価につながります。
また、顧客の意思決定者が外国人であったり、海外のステークホルダーに技術的な内容を説明したり、海外本社とのコミュニケーションを行ったりする場面のある営業職の場合は、高い語学力が評価されます。英語力を証明できる経験や資格を必ず履歴書・職務経歴書に記載しましょう。
③IT業界に特化した転職エージェントを活用する
転職を成功させより良いキャリアを築くためには、自分に合った転職エージェントを見つけることが不可欠です。特にITのような特殊な業界の場合は、IT業界に精通したコンサルタントが在籍する転職エージェントを選びましょう。
転職エージェントを活用するメリット:
転職先の視野が広がる:転職の条件や自分のスキルを一緒に洗い出してくれ、プロの視点からキャリアの方向性や可能性を広げる提案をしてくれることがあります。「こんな選択肢があるとは思わなかった」という気づきが得られることも。
効率的な情報収集:転職活動において「情報収集」は非常に大切ですが、個人が集められる情報には限りがあります。業界の最新動向や企業の内部情報など、公開情報だけでは得られない貴重な情報を転職エージェントから知ることができます。
非公開求人にアクセスできる:求人サイトや企業サイトには掲載されていない非公開の求人にアクセスできます。特に、マネージャー以上のハイクラスの転職を希望している場合は、転職エージェントを活用することでより多くの求人情報にアクセスすることが可能です。
書類選考の通過率が上がる:企業と関係が深いエージェントを利用している場合、人材コンサルタントが書いた推薦状により「推薦候補」として優先的に面接を受けられることがあります。人材コンサルタントが人事だけでなく、直接部門の採用担当者に話ができる場合も多く、一段階選考をスキップできる可能性も。
履歴書の添削や面接対策などのサポートにより面接の通過率が上がる:応募企業にアピールできる効果的な応募書類の作成のコツや、面接での想定質問の洗い出し、企業研究のポイント、英語面接などの面接指導、面接後のフィードバックも提供してくれるため、面接の合格率が向上します。また、自分で行うには気後れしてしまう条件交渉や面接の日程変更などもお願いでき、精神的負担も軽減できます。
エイペックスでは、IT業界専門のコンサルタントが複数在籍しており、スタッフレベルからジャパンヘッドなどエグゼクティブポジションを含めたハイクラス人材の方まで、包括的な転職サポートを提供しています。ご相談にいらっしゃる方はみな忙しい方ばかりのため、履歴書・職務経歴書の作成サポートや企業・製品の情報収集、想定質問の洗い出し、面接日程の調整、条件交渉など、手間のかかることを一手に引き受けて効率的な転職活動をサポートできます。
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