就職活動で複数の企業から内定をもらったり、条件面で折り合いがつかない場合には内定辞退の連絡をしなければなりません。
内定辞退は電話が基本とされていましたが、近年ではメールでの連絡も一般的になっています。メールを書く際には、相手に不快な思いをさせないよう敬意と感謝の気持ちを示すことが大切であり、こうした配慮が今後のビジネスでの関係構築につながります。
そこで本記事では、エイペックスの医療機器チームに所属する人材コンサルタントの郭 論里さんに、内定辞退メールを書くときの注意点やポイント、具体的な例文、内定辞退に関するよくある質問などに答えていただきました。転職活動中の方は必読の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
目次
内定辞退の連絡前に確認すべきこと
内定辞退メールを書くときの注意点
内定辞退のメールでの伝え方~ステップ①~⑨まで
内定辞退に関するよくある質問
内定辞退を迷っている場合には
内定辞退の連絡前に確認すべきこと
①誰に伝えるのかを確認する
内定辞退のメールを送る相手は、応募した経由によって異なりますので注意が必要です。下記で確認しておきましょう。
企業に直接応募した場合(求人サイトを含む):企業の採用担当者
転職エージェントを経由た場合:担当の人材コンサルタント

転職エージェントに内定辞退を連絡する際は、ご自身と近しい経験を持つ業界の方を推薦していただくと、プラスαでポジティブな印象を残すことができます!
②内定辞退が決定したらなるべく早く担当者に伝える
通常内定をもらうと正式な回答までにある程度の猶予がありますが、断ることが決定したら回答期限にかかわらずできるだけ早く連絡するのがマナーです。正式に返事をしたあとに何らかの事情で辞退しなければならなくなったときも、できるだけ早く連絡しましょう。
他社とまだ迷っていて内定を保留したいという場合も同じです。できるだけ早く担当者に事情を話し、待ってもらえるのか、待ってもらえる場合にはいつまでの返事が必要なのか尋ねるようにしましょう。
③連絡はメールでもOKだが、そのあとに電話を入れると丁寧
内定辞退の連絡はメールでも電話でもOKですが、担当者に伝わったことを必ず確認しましょう。
メールのほうが相手も都合の良い時間に確認できること、落ち着いた環境で書いた文面のほうが誠意が伝わりやすいことなどから、近年はメールでの内定辞退のほうが一般的になってきています。
メールの場合は、送信後に担当者に連絡を入れておくとより丁寧で、選考プロセスで時間と労力を費やしてくれた企業に対する誠意が示せます。その場合は、相手の迷惑にならないよう忙しい朝と夕方を除いた就業時間内にかけるようにしましょう。

メールを送信した後は、電話でフォローすることも検討しましょう。「先ほどメールをお送りいたしましたが、ご確認いただけましたでしょうか?」と確認の連絡をすることで、確実に辞退の意思が伝わります。特に入社日が近い場合や、管理職など重要なポジションの内定であった場合は、より丁寧な対応が求められます。
④内定辞退の連絡をしないのはNG
内定辞退を申し出るのは誰であっても気が引けるものですが、だからといって連絡をしないのは絶対にNGです。
企業はあなたの入社に向けてさまざまな準備をしていること、ビジネスの世界ではいつどこでその企業がビジネス相手になるかもしれないということを忘れずに、社会人としての常識ととらえて必ず連絡しましょう。
内定辞退メールを書くときの注意点
詳細な辞退理由は書かなくてもOK
内定辞退のメールでは、「都合により辞退することになった」「検討の結果辞退となった」などにとどめるなど、答えられる範囲での説明で大丈夫です。「他社に入社することになった」と言う場合も、具体的な社名や決め手となった要因(年収など)まで言う必要はありません。
他社に決めた理由を伝える場合には、「自分の適性により合うと思ったため」「自分の目指したい方向性により合致しているため」などと言うと、角が立たないでしょう。
企業への敬意と感謝を忘れずに
内定辞退メールでは、内定をいただいたことへの感謝の気持ちを示しつつ、辞退する旨とその理由を簡潔に述べることが基本です。選考プロセスで時間と労力を費やしてくれた企業に対する敬意と誠意を示しましょう。
内定辞退メールは単なる事務的な連絡ではなく、プロフェッショナルとしての自己表現の一部です。特に狭い業界での専門職や管理職の場合、丁寧かつ誠実な対応が将来的に良好な関係を築く基盤となるでしょう。
内定辞退のメールでの伝え方~ステップ①~⑨まで
内定辞退メールの基本構成
内定辞退メールの基本的な構成は以下のとおりです。
この順序で書けば、論理的で丁寧な印象を相手に与えることができますので、参考にして作成しましょう(各項目については、そのあとに詳しく解説されています):
件名:「内定辞退のご連絡/氏名」など、一目で内容が分かる件名をつけます。
宛名と挨拶: 「○○株式会社 人事部 ○○様」のように宛名を明記し、「お世話になっております。(〇〇会社の)/(〇〇大学〇〇学部の)○○です。」などと自己紹介します。
内定への感謝:「この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。」など、感謝の意を表します。
辞退の意思表明:「大変光栄なお話をいただきながら誠に恐縮ではございますが、熟考の結果、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。」など、明確に辞退の意思を伝えます。
辞退理由:「最後まで悩みましたが、自身の目指したい方向性により合致していることから、他社の内定を承諾することといたしました。」など、状況に応じた適切な理由を簡潔に述べます。
お詫びの言葉:「選考にお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような結果となり大変申し訳ございません。」と謝罪します。
メールでの連絡に対するお詫び:「本来であれば直接貴社にお伺いしお詫びすべきところ、メールでのご連絡となりますこと、何卒ご容赦いただければ幸いに存じます。」と添えます。
結びの言葉:「〇〇様をはじめ、選考に携わっていただきました皆様に改めて御礼申し上げます。末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。」と締めくくります。
署名:氏名、会社名・部署名、連絡先(電話番号、メールアドレス)を記載します。
ステップ①:件名に内定辞退を明記する
「内定辞退のご連絡/鈴木太郎」のように、件名で要件が伝わるようにしましょう。内定辞退は重要なメールですので、忙しい採用担当者のもとに来る他の連絡事項に埋もれてしまわないよう、要件を明記しましょう。
ステップ②:宛名と挨拶
採用担当者の企業名と所属、宛名を入力し、「お世話になっております。先日内定のご連絡をいただきました〇〇と申します。」などと入れます。「〇〇会社の〇〇です。」など、自分の所属を入れて挨拶しても良いでしょう。
ステップ③: 内定への感謝を述べる
内定辞退の要件を伝える前に、必ず内定への感謝を伝えましょう。 「このたびは貴重なお時間を割いていただき」といった表現から始めることで、相手の尽力に対する感謝の気持ちを示すことができます。
特に専門性の高い職種では、技術や部門面接など現場の管理職やチームメンバーも選考に参加していることが多いため、選考に関わったすべての方々に向けた気持ちを意識しましょう。

「面接官の皆様には貴重なご指導をいただき」「選考を通じて業界への理解を深める機会をいただき」など、実際に選考過程で得られた学びや価値に言及することで、形式的ではない誠実な感謝の気持ちを伝えることができます。
内定への感謝を伝える例文:
「選考プロセスにおいて丁寧にご対応いただき、貴重な機会をいただいたことに深く感謝申し上げます。」
「日程調整など柔軟にご対応いただき、また貴重な内定のお知らせをいただきましたこと、心より御礼申し上げます。」
「インターンシップから本選考まで、一貫して丁寧なご指導とフィードバックをいただき、大変勉強になり感謝申し上げます。」
「各部門の面接官の方々には、業務内容や企業文化について詳しくご説明いただき、大変参考になりありがとうございました。」
ステップ④:辞退の意思を伝える
内定への感謝を述べた後は、辞退の意思を明確に伝えます。 曖昧な表現は避け、誤解を生じさせないよう簡潔かつ明確な言葉で意思表示することが重要です。「検討中です」や「もう少し時間をいただけますか」といった保留を匂わせる表現は避け、はっきりと「辞退」という言葉を使用しましょう。
また、「このような嬉しい結果をいただきながら恐れ入りますが、検討の結果、内定を辞退させていただきたく」といった表現を用いて、相手に不快感を与えないよう配慮しましょう。

辞退の意思を伝える際には、相手の立場を考慮した丁寧な表現を心がけましょう。特に専門性の高い分野では採用活動に多大なリソースを投入しており、辞退の連絡は企業側の計画に大きな影響を与えます。そのため、早い段階で明確な意思表示をすることは、ビジネスパーソンとしての責任ある行動と見なされます。
辞退意思を伝える例文:
「大変光栄なお話をいただきながら誠に恐縮ですが、自身の今後を考えた結果、内定を辞退させていただく結論に至りました。」
「最後まで悩みましたが、自分の適性や今後のキャリアについて再度検討した結果、内定を辞退させていただくこととなりました。」
「改めてキャリアの選択肢を考え直した結果、誠に恐縮ではございますが内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。」
「このような身に余るお話をいただきながら誠に申し上げにくいのですが、一身上の都合により、貴社の内定を辞退させていただく決断に至りました。」
辞退意思の伝え方における注意点:
濁さない表現を使う:「辞退させていただきます」という明確な表現を用い、「辞退を検討しています」のような曖昧な表現は避けましょう。
クッション言葉を使う: 「このような光栄なお知らせをいただきながら」「大変申し上げにくいのですが」「最後まで悩みましたが」などの前置きを用いて、辞退という否定的な内容を柔らかく伝えます。
熟考の末の結論であることを示す: 「慎重に検討を重ねた結果」「自分自身のキャリアを考慮した結果」など、辞退の決断が熟考の末の結論であることを示しましょう。
企業側を非難する表現を避ける:企業の条件や環境に不満があったとしても、批判的な表現は避け、「私の希望と合致しなかった」程度の表現にとどめるべきです。
ステップ⑤:辞退の理由を簡潔に伝える
辞退の意思を伝えた後は、その理由について簡潔に説明します。企業側は内定辞退の理由を把握することで、自社の採用活動の改善点を見出したり、社内報告の材料としたりするため、一定の説明が望ましいとされています。
ただし、説明は簡潔にまとめ、過度に詳細な内容や企業側の心証を害すような言葉選びは避けましょう。「他社の内定を承諾することにした」「キャリアプランを再考した結果」「家庭の事情により」など、状況に応じた適切な理由を選択します。特に他社への入社を理由とする場合は、具体的な企業名や条件の比較は避け、「自分のキャリア志向により合致した」といった表現にとどめるのがビジネスマナーとして適切です。
辞退理由を伝える例文:
「並行して選考を受けていた企業からも内定をいただき、自身の適性や将来のキャリアパスを総合的に考慮した結果、そちらの企業への入社を決断いたしました。」(他社に入社する場合)
「転職活動を通じて自己分析を深める中で、自身の強みをより活かせる分野を見出し、方向性を変更することにいたしました。」(キャリアの方向性を転換する場合)
「御社の理念に大変共感しており、最後まで入社を迷っておりましたが、自身のさらなる成長を目指し専門知識を深めるべく大学院進学を決意いたしました。」(勉学に励むことを決断した場合)
「家庭の事情により、当初の予定を変更せざるを得なくなりました。」(家庭の事情の場合)
辞退理由を伝える際に避けるべき表現:
具体的な条件面への言及:「御社の給与水準が期待を下回った」「福利厚生が不十分だった」など、企業の条件を直接批判する表現は避けましょう。
他社との直接比較:「A社の方が条件が良かった」「B社の方がキャリアパスが明確だった」など、他社との優劣を示す表現は控えるべきです。
抽象的で根拠に欠ける理由: 「なんとなく違和感があった」「雰囲気が合わないと感じた」など、具体性に欠ける理由は信頼性を損なう可能性があります。
長い説明: 長々とした説明はかえって不信感を抱かせたり、反論の余地を与えたりする可能性があるため、要点を絞った説明を心がけましょう。
特にマネージャーやディレクターなど責任あるポジションを目指す方にとっては、こうした場面での適切な意思表示能力は、将来のリーダーシップにも通じる重要なスキルです。相手に配慮しつつも明確に自分の意思を伝える技術は、ビジネスシーンにおいて常に求められるコミュニケーションスキルです。丁寧かつ誠実な対応は、たとえ今回は縁がなくても、将来的なビジネスチャンスや人脈形成において良い影響をもたらす可能性があります。
ステップ⑥:辞退に対するお詫びを述べる
辞退理由を説明した後は、採用プロセス全体への敬意を示す誠意あるお詫びの言葉を述べることが不可欠です。 「複数回の面接機会をいただき、丁寧にご評価いただいたにもかかわらず、辞退という結果になってしまい深くお詫び申し上げます。」など、選考過程を振り返りながら具体的な感謝とお詫びを伝えると、形式的でない真摯な思いを伝えることができます。
お詫びポイントは、「具体的に」「簡潔に」「前向きな姿勢」です。
辞退に対するお詫びを伝える例文(一般編):
「数回にわたる選考の機会をいただき、多くの方々にご評価いただいたにもかかわらず、このような結果となり誠に申し訳ございません。」
「面接日程の調整など柔軟にご対応いただいたにもかかわらず、期待に添えない結果となってしまい、深くお詫び申し上げます。」
「最終選考まで貴重な機会をいただき、経営陣の方々にもお時間を割いていただいたことに感謝するとともに、辞退という結果となり大変心苦しく感じております。」
「内定のご連絡から時間が経過し、大変お待たせしていたなかでの辞退の連絡となり、採用計画に支障をきたすことを深くお詫び申し上げます。」
辞退に対するお詫びを伝える例文(専門職編):
「御社のPatient Centricityの取り組みに深く共感しており、選考を受けさせていただいた経験は大変貴重なものでした。そのような機会をいただきながら辞退という結果となり、誠に申し訳ございません。」(ヘルスケア業界)
「AI分野において先進的な取り組みをされている貴社での選考過程において、多くのことを学ばせていただきました。このような結果となり大変心苦しく思っております。」(IT業界)
「クライアント企業の課題解決に対する御社の真摯な姿勢に、大変感銘を受けておりました。そのような素晴らしい環境での機会をいただきながら、辞退という結果となり大変申し訳なく思っております。」(コンサルティング業界)
「厳格なコンプライアンスと高度な専門性を両立されている貴社での選考過程は、私自身の成長にもつながりました。そのような貴重な機会をいただきながら、期待に応えられない結果となり、心よりお詫び申し上げます。」(金融業界)

お詫びの言葉を通じて示される誠実さと配慮は、ビジネスパーソンとしての基本的な素養を表します。特にバイリンガル人材が求められる国際的な環境では、こうした細やかなコミュニケーション能力が高く評価されます。適切なお詫びの表現は、単なる形式的なステップではなく、長期的なキャリア形成において重要な対人スキルの一部として捉えるべきでしょう。
ステップ⑦:メールでの連絡に対するお詫びを述べる
メールでの内定辞退を選択する場合、その選択自体に対する配慮の言葉を添えることが社会人としてのマナーです。「メールでのご連絡となることを、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます」といった一文を入れると、細やかな気配りが示せます。
メールでの連絡に対するお詫びの例文(状況別):
「日程の都合上直接ご挨拶する機会を設けることができず、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。」
「本来であれば直接貴社にお伺いしお詫びすべきところ、メールでのご連絡となりますこと、何卒ご容赦いただければ幸いに存じます。」
「先ほどお電話をさせていただきましたが、ご不在だったためメールにて失礼いたします。」(先に電話した場合)
「現在遠方におりますため、直接お伺いしてご挨拶できないこと、何卒ご理解いただけますと幸いに存じます。」(遠方にいる場合)
「現在体調不良のため直接お伺いすることができず、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。」(体調不良の場合)
メールでの連絡に対するお詫びをさらに効果的に伝える工夫:
可能であれば具体的な理由を添える:単に「メールでのご連絡となり申し訳ございません」と述べるよりも、なぜメールでの連絡になったのかの理由を簡潔に添えると、より誠実な印象が伝わります。
メールのあとに電話する旨を伝える: 「本メール送信後に、確認のお電話をさせていただきたく存じます」など、メール送信後に電話でフォローアップすることを触れると、より丁寧です。
返信依頼を添える:「大変恐縮ではございますが、本メールをご確認いただけましたら、ご一報いただけますと幸いに存じます」といった一言を添え、確実に辞退の意思が伝わっているか確認することもできます。
メール送信のタイミングへの配慮:「業務時間外のご連絡となり恐縮ですが」「お忙しい中、メールの確認にお時間を割いていただき申し訳ございません」など、送信タイミングに応じた配慮を示す言葉も効果的です。
ステップ⑧:結びの言葉で締めくくる
一般的には「末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」といった表現が用いられますが、選考過程での具体的な印象や学びに触れて、より個人的な内容にすることもできます。
結びの言葉の例文:
「選考過程での貴重な学びを、今後のキャリアに活かしていきたいと思います。貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。」
「長期にわたる選考プロセスを通じて多くの気づきと成長の機会をいただきましたことに、改めて感謝申し上げます。御社の今後のますますのご躍進を心よりお祈り申し上げます。」
「業界をリードする貴社の先進的な取り組みからは、多くの学びを得ることができました。今後とも貴社のさらなるご発展を祈念しております。」
「これまで複数回にわたり選考の機会をいただき、誠にありがとうございました。今後とも貴社の理念と事業に共感しつつ、貴社のさらなる発展をお祈り申し上げます。」
ステップ⑨:署名
署名の構成:
区切り線:本文と署名を区別するために、横線(ハイフンやイコールの連続など)を入れる
氏名:漢字とフリガナの両方を記載(例:鈴木 太郎(すずき たろう))
肩書きや所属:新卒であれば大学名・学部・学科、社会人であれば現職の情報
連絡先:電話番号、メールアドレス(できるだけビジネスライクなもの)
住所:郵便番号を含めた正確な住所(書類のやり取りが予想される場合)
メールソフトの自動署名機能を活用する場合も、定期的に見直すことをお勧めします。
※ビジネスでのお礼メールの例文については、「【おすすめフレーズと例文付】お礼のメールを英語で書く方法を徹底解説」をご覧ください。
内定辞退に関するよくある質問

ここでは、内定辞退に関してよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
Q. 内定辞退の理由はどのように伝えるべきですか?
A. 企業側は辞退理由を聞いて次の採用活動に生かしたいと考えているため、ある程度の説明は必要ですが、詳細を説明する必要はありません。「自分の適性を見つめ直した結果」「希望する職種と合致しなかったため」など、相手を否定せず自分の判断として伝えましょう。
企業を直接批判するような表現や、他社との直接的な条件比較は避けるべきです。例えば「御社の研修制度に物足りなさを感じた」「地方への配属リスクがある」といった表現ではなく、「自分のキャリア開発の方向性と合致する環境を選択した」といった表現が適切です。理由説明は3〜4行までにとどめ、相手に不快感を与えないよう配慮しましょう。
Q. 内定辞退の連絡はいつまでに行うべきですか?
A. 内定辞退の意思が決まったら、指定された回答期限に関わらずできるだけ早く行うことが企業への配慮となります。企業側は内定者の入社に向けて準備を進めており、他の候補者への対応も含めて採用計画を立てているため、遅れるほど負担が大きくなります。
特に入社日が近い場合(2週間以内)の辞退は、企業に大きな影響を与える可能性があるため、「入社間近のご連絡となりましたこと、誠に申し訳ございません」といった特別なお詫びの言葉を添えるべきです。また、他社の選考結果を待っている場合は、「他社の選考が進んでおり、回答を○月○日まで待っていただけないでしょうか」と、期限延長の相談をしてみましょう。
Q. メールで内定辞退を伝えても大丈夫でしょうか?
A. 内定辞退を伝える手段は、メールか電話になるでしょう。近年は担当者が在宅勤務していることも多く、メールでの連絡が一般的になってきました。
業界や企業文化によって受け止め方が異なり一概にどちらが良いとは言えませんが、メールで伝えてから電話で一報を入れる、もしくは電話で伝えてからメールで再度お詫びとお礼を伝えるとより丁寧でしょう。 メールは送信前に内容を確認できる点や記録として残る点で安心感があり、電話は誠意や感謝の気持ちがより直接的に伝わりやすいなどそれぞれのメリットがありますので、自身でやりやすい方法を選択しましょう。
ただ、入社日が迫っている場合などは電話で一報を入れるほうが誠実です。もし電話がつながらなかった場合でも、「お電話を差し上げたのですが、ご不在だったためメールにて失礼いたします。」といった一文を添えましょう。
Q. 内定辞退のメールに返信がない場合はどうすれば良いですか?
A. 内定辞退のメールを送信した翌日いっぱいまで返信がない場合は、電話で確認するか、メールを再送信するなどの対応が必要です。電話での問い合わせは、平日の10:00〜16:00頃の業務時間内に行い、出社・退社時間の間際は避けるようにしましょう。
電話では、「○日付でメールにて連絡させていただいたのですが、ご確認いただけておりますでしょうか」と丁寧に尋ねます。担当者が不在の場合は、他の社員に「先日メールをお送りしておりますので、ご確認いただけるようお伝えいただけますでしょうか」と伝言を頼むこともできます。重要なのは、内定辞退の意思が確実に企業側に伝わったことを確認することです。
Q. 内定承諾書にサインしたあとでも辞退できますか?
A. 内定承諾書には法的な拘束力がないため、提出後でも辞退は可能です。民法(第627条第1項)では、労働契約の解除はいつでも可能とされており、内定辞退によって罰則が科せられることはありません。
ただし、内定承諾書の提出により労働契約が成立しているため、より慎重な行動が必要です。電話での連絡を優先し、その後正式な書面やメールでも辞退の意思を確実に伝えましょう。入社予定日が迫っている場合は企業側の採用計画に大きな影響を与えるため、できるだけ早く連絡することが社会人としての責任ある行動といえます。そして、もう一度その企業に採用されるということはないと考え、本当に内定辞退するべきか慎重に行動しましょう。
Q. 内定辞退後に企業から詳しい理由を聞かれた場合はどうすれば良いですか?
A. 企業側は今後の採用活動の参考にするために理由を知りたいと考えていることが多いため、内定辞退後に電話やメールで辞退の理由を聞いてくることがあります。その場合は、可能な範囲で無理なく回答することを心掛けましょう。
「御社と並行して選考を受けていた企業より内定をいただき、自身の将来や適性を熟考した結果、そちらの企業に入社する決断に至りました」「慎重に今後のキャリアについて検討を重ねた結果、現職にとどまる決断をしました」など、前向きな表現を心がけましょう。どうしても答えたくない内容については、「申し訳ございませんがお答えできません」と丁寧に断ることも可能です。
Q. 内定辞退後、再応募することは可能でしょうか?
A. 一度辞退した候補者の再選考に関しては、企業や業界により対応が異なります。基本的には再度採用されることはないという気持ちを持って、内定辞退するかを検討しましょう。
ただし、「家族の事情」「病気になった」「現職の状況が変わった」など、やむを得ない理由で辞退した場合は、企業側も理解を示してくれることが多いでしょう。その場合でも、辞退時の対応が誠実であったか、理由を明確に伝えたかどうかが、再応募時の印象に大きく影響します。
再応募する際は、前回の辞退理由と今回応募する理由の整合性を明確に説明できるよう準備しておくことが重要です。例えば、「前回は家族の介護が発生してしまいましたが、現在はその問題が解決し、今まで培ってきた経験を活かして御社に貢献したいと考えております」など、状況の変化を具体的に説明します。特に専門性の高い職種では、スキルや知識が評価され、前向きに検討してもらえる可能性は十分にあります。
内定辞退を迷っている場合には
転職活動中に内定を辞退するかどうか迷っている場合には、慎重な判断が必要です。 冷静に現在の状況を判断するためにも、以下のようなステップで検討してみましょう。
なぜ転職したいのか、転職の軸や自身の価値観、キャリアプランを確認する
内定企業のメリット・デメリットをリストアップして優先順位を確認する
他社とメリット・デメリットを比較してみる
家族や友人に相談してみる
転職エージェントに相談してみる
エイペックスは、転職や就職活動におけるあらゆる場面でのサポートを提供しており、キャリアに関する悩みや質問についても無料で受け付けています。現在転職活動中で企業選びに困っているという方も、ぜひ無料相談からスタートして専門のコンサルタントから最適なアドバイスをもらいましょう。各業界のキャリアのプロが、あなたの理想のキャリアの実現に向け、全力でサポートします!