経営、営業、マーケティングと幅広い分野で注目の集まる「データドリブン」。データドリブンとはデータを重要視し、ビジネス上の意思決定、判断においてデータとその分析結果を基準とする考え方です。経験、勘、慣習といった曖昧さを排除し、高い精度をもたらしてくれるデータドリブンについて是非学んでみましょう。
データドリブンとは
データドリブンとは、ビジネス上の意思決定、判断の基準をデータとする手法、考え方です。明確な基準を持って物事を判断するのは当然の考え方で、ビジネス上の意思決定においても同様です。データドリブンはこの判断基準のためにデータの収集を行い、データ分析を行うのが特徴です。統計学や機械学習、データマイニングといった技術/知識を用いて、データから傾向・パターンを見出し、ビジネスでの判断に貢献します。
データドリブンが活用され始めた背景には、IT技術の習熟があります。データの収集と分析ではそこで扱われるデータが大量であることが多く、分析を行おうとすると高度な処理が可能なコンピュータが必要でした。そのうえ活用にはコスト負担が非常に大きかったのですが、近年ビッグデータやデータドリブンツールといった技術が一般化してきたため、データドリブンへのハードルが下がってきたという背景があります。また、データ収集へのIoTの活用もその動きを後押ししています。
データドリブンの適用には流れがあります。以下のようなサイクルがその概要で、繰り返し改善を行いながら適用していきます。
データの収集、蓄積
データの可視化、分析
データ分析結果をビジネスの意思決定に反映
データドリブンによりもたらされた施策の実施
⑤結果の測定と改善案の作成
データドリブンを業務に適用することにより、下記のようなメリットを得ることができます。
データ分析技術から得られる情報であるため判断の精度向上が見込める。
データを基底とする明確なビジネスの方針を得ることができる。
ビジネスプロセスから勘、感覚、経験といった曖昧さを持つ要素を排除し、属人化を防ぐ。
データを収集して分析するプロセスの効率化を実現する。
データドリブンは、データの活用というデジタル技術から新たな価値を創造する手法とも言えます。これはまさにDXの定義そのものともリンクしており、企業がデータドリブンを導入することはDXに繋がる取り組みでもあるのです。
データドリブンが適用される分野
データドリブン活用ために、データドリブンツールというデータを分析したり、可視化したりするためのツール(ソフトウェア)が提供されています。それぞれの業務分野に最適化されたツールを利用することが必要となります。
経営:BI(ビジネスインテリジェンス)ツール
営業:SFA(営業支援)、CRM(顧客管理)ツール
マーケティング:MA(マーケティングオートメーション)ツール、Web解析ツールなど
データドリブンを実現させるためには?
データドリブンという手法を実現するためには、いくつかの準備が必要となります。
一つはデータ収集、蓄積のためのプラットフォームです。データドリブンでは、まさにデータが中心的な役割を果たします。データ分析を行うにあたり、様々な観点で長期的に取得されたデータであればあるほど精度向上が期待できます。データを収集する仕組み、データを貯めて整理しておく器も必要です。
二つ目はデータドリブンツールと実行環境です。貯蓄したデータを分析するためのツール(ソフトウェア)とその実行環境(サーバー等のハードウェア)が必要です。クラウドで利用できるツールもあるため、コストとも合わせての検討を行いましょう。
三つ目として、データドリブンを実施するための運用人材が必要です。データの収集を各連携先と調整しながら行い、データ分析のツールを駆使して実施し、データの分析結果を経営、営業、マーケティング等のビジネス上の判断、意思決定に反映するために企業の上位層に働きかけられる人材です。デジタル技術への理解とともに、業務への深い知識と理解も持った人材がいなければ、データドリブンの運用は回りません。
データドリブンを実現するITエンジニア職・データサイエンティスト
データドリブンで重要なデータ収集、分析、およびビジネス上の判断にも関与できるポジションとして、ITエンジニア職の一つであるデータサイエンティストが挙げられます。データサイエンティストとは、データを利用してそこから知識を得る専門人材です。ITエンジニア職の中でも非常に需要が高まっている職種といえます。
またデータサイエンティストでなくとも、データドリブンツールの活用によりデータドリブンの実現は可能です。ただし、ある程度はデータの分析に関係のある統計、数学、機械学習、デジタル技術に精通した高度なIT人材が必要とされます。
終わりに
データドリブンは企業にとって、デジタル技術から新たな価値を創出する取り組みの一つです。まさにDXの一つの形でもあります。データサイエンティストをはじめ、企業をデータドリブンで成功に導くIT人材が今求められているのです。