ビジネスの現場において「ペンディング」という言葉の意味を明確に知らなかったために、返事や判断が曖昧になってしまったことはないでしょうか。また、なんとなく意味は把握しているけれども実際にどのように使えば良いのかわからないという人は多いのではないでしょうか。
本記事ではそのような方々に向けて、
ペンディングの意味
ペンディングの使い方
ペンディングを使う時の注意点
などを紹介していきます。
本記事を読むことで、「ペンディング」という言葉を正確に理解し使えるようになります。また、一歩踏み込んだビジネススキルとしての使用例も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
1. ペンディングの意味
「ペンディング」という用語は、ビジネスシーンでも頻繁に使用されるキーワードであり、意思決定やタスクの完了が一時的に保留されている状態を指す英語由来の言葉です。この用語は、即断を避け、さらなる検討や情報収集の時間を確保するために用いられます。例えば、プロジェクトの詳細がまだ未確定な時や、他部署との調整を行っている間、タスクや決定事項を「ペンディング」として保留にすることが一般的です。
2. ペンディングの由来
ペンディングの語源を理解しておくと、その英語での意味や背景を掴みやすくなります。ペンディングの語源はラテン語の「pendere」に由来し、その意味は「吊るす」を表します。この語源を反映して、英語での「pending」は「未決定で、宙ぶらりんで」という意味であり、何らかのアクションが完了を待っている時点やプロセスの進行中を示します。
3. ペンディングのニュアンス
ビジネスコンテキストにおいて、「ペンディング」は案件やプロジェクト、業務が中断しているわけではなく、次のステップに進むための追加情報やリソース、決定を待っているというニュアンスを含みます。例えば、契約がペンディング中であれば、その契約はまだ有効ではなく、何らかの条件が満たされるのを待っていることを意味します。ペンディングの状態は、しばしばタイムリミットと関連しており、その期間内に必要な手続きが完了すればペンディング状態から解除されます。
「ペンディング」の日本語での置き換え
ペンディングを日本語で置き換える際には、文脈に応じて「保留」「検討中」「結論を待つ」「未定」など、より具体的かつ適切な表現を用いることが求められます。一方で、「ペンディング」という状態に反する語句としては、「決定」「確定」「承認」といった言葉が対義語に位置づけられるでしょう。
日本語の「保留」とは微妙なニュアンスの違いがある
通常ペンディングとは前述の通り、何らかの決定や作業が保留されている状態を指し示す用語として用いられることが多いです。しかし、単に「保留」と訳すだけでは、ペンディングが持つニュアンスを完全には捉えきれません。
「保留」は日本語として幅広く使われる一方で、「ペンディング」はより具体的なビジネスの文脈で使用されることが多いです。例えば、クライアントに対して「ご提案は保留させていただいております」と伝えるよりも、「ご提案はペンディングとさせていただいており、追加情報をもとに再検討いたします」と伝える方が、その事態の一時性と、積極的な対応姿勢を示すことができます。
4. ペンディングの使い方(基本編)
ペンディングという言葉は、職場のコミュニケーション内において用いるだけでなく、ビジネスにおける自分の状況(シチュエーション)に適用することもできます。
コミュニケーションにおいて使用する
【他の行動を待つ必要がある場合や、意思決定者が不在で即答が難しい場合】
例文:「その件はまだペンディングですが、詳細が確認でき次第、すぐにお知らせします」
【会議において他の関連事項が整理されるまで決議を保留する意志を示したい場合】
例文:「この問題については、次回のミーティングまでペンディングにしましょう」
【部下からの提案を受けた際に更なる情報が必要な場合】
例文:「この提案はペンディングにしておきましょう」
いくら文字で説明を理解できても、「ペンディング」という言葉を実際のコミュニケーションで初めて使うのには勇気がいると思います。「ペンディング」が使われている日常実際の会話と使い方のポイントを、よく起こるビジネスシーン別に動画で見てみましょう。具体的なイメージやニュアンスを掴むのに役立ちます。
特定のシチュエーションに適用する
【営業】
営業チームが新しい提案をクライアントに提示した際に「ペンディング」というレスポンスを受けることがよくあります。この場合、プロジェクトの進行状況を一時停止し、クライアントが決定を下すまで待機することを意味します。
【人材採用】
採用チームが候補者の面接後に結果を「ペンディング」とすることで、他の候補者と比較検討する時間を確保できます。「面接結果はペンディングです」と伝えることで、適切なコミュニケーションを保ちつつ、迅速な決断を要するプレッシャーを和らげることができます。
【日常的な業務】
重要な意思決定が求められる場合や予期せぬ課題が浮上した際には、「ペンディング」を適用し、追加情報を集めるか、関係者と相談してから決断を下すための時間を作ることができます。
【転職活動】
転職活動の中で冷静な意思決定を保つのに役立ちます。例えば、オファーを複数抱えている場合において、最終決定を「ペンディング」にすることで、適切なタイミングまで判断を保留し、より良い選択を可能にします。
5. ペンディングのビジネススキルとしての使用例(上級編)
「ペンディング」は、ビジネスにおいて単なるコミュニケーションの言葉にとどまらず、重要なビジネススキルとしても機能します。最適に活用するためには、適切なタイミングでペンディングの実行が求められます。これは経営者やチームリーダーにとって特に重要なスキルであり、戦略的な選択を含みます。必要な情報が集まるのを待つか、他の優先事項へリソースを割り当てるかという柔軟で賢明な判断が要求されます。このような戦略的な使用により、ペンディングはビジネスプロセスを最適化し、成功に向けて効果的な意思決定を支える重要な要素となります。
意思決定
より深い分析やアイデアの生成に時間をかけられる
焦点を絞り、チームのエネルギーを特定の課題に集中させるのに役立つ
問題解決
冷静な頭で物事を考察し、緊急性のある状況と長期的な計画との間のバランスを見つけるための空間を提供できる
チーム内のコミュニケーションや協力を高める効果も期待できる
6. ペンディングを使う時の注意点
「ペンディング」をビジネスコミュニケーション内で用いる際は、適切なニュアンスで相手に状況を伝える必要があります。ペンディングの状況を伝える際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
ポイント 1.
なぜその決定が保留されているのか、またどのような追加情報が必要かを説明する
ポイント 2.
次のステップや期待されるタイムラインを明確にし、受け手が状況を理解しやすくする
ニュアンスの違いに注意し、保留する事項が決して忘れ去られることなく、適切なタイミングで取り上げられるよう留意することが大切です。
7. ペンディングと混同しやすい言葉
ビジネスシーンでは、「ペンディング」と「キャンセル」の使い分けが非常に重要です。「ペンディング」とは、ある案件や決定を一時保留している状態を指します。これに対して、「キャンセル」は、予定や契約などを取り消すことを意味します。
例えば、プロジェクトの進行中に、情報の不足や判断を要する新事実が浮上した場合、そのプロジェクトを「ペンディング」の状態に置くことが適切でしょう。これは一時的な処置であり、後日、追加情報を得た上で適切な決断が下されます。対照的に、「キャンセル」はそのプロジェクトを完全に終了する強い意志表示であり、復活の可能性は低いです。
8. ペンディングに関するよくある質問
Q: 「ペンディング」という用語は、決断不能の兆候と見なされることがありますか?
A: 必ずしもそうではありません。「ペンディング」という用語は、戦略的に使用されることが多いです。これは決定プロセスの一環であり、最終決定が下される前に適切なタイミング、追加のリサーチ、または相談のためのステップです。
Q: 「ペンディング」と「キャンセル」は異なりますか?
A: はい、「7. ペンディングと混同しやすい言葉」において述べた通り「ペンディング」と「キャンセル」は異なる意味を持ちます。「ペンディング」は一時的な保留を意味し、後でその件に再度取り組む意向があることを示していますが、「キャンセル」は計画や契約が終了し、すぐに再開または再考する意図がないことを示します。
Q: 「ペンディング」と「リスケ」は異なりますか?
A: はい、「ペンディング」と「リスケ」は異なる意味を持ちます。「ペンディング」は一時的な保留を示し、後でその件に再度取り組む意向があることを指します。一方で、「リスケ」は「予定の組み直し」を意味し、「リ・スケジュール」を略した言葉です。具体的には、「予定や日程を延期して変更し、再度組み直す」という意味合いがあります。ペンディングが一時的な保留を意味するのに対し、リスケは比較的迅速に再設定されるというニュアンスを含んでいます。
9. まとめ
ペンディングの意味
意思決定やタスクの完了が一時的に保留されている状態
ペンディングのニュアンス
案件やプロジェクト、業務が中断しているわけではなく、次のステップに進むための追加情報やリソース、決定を待っているというニュアンス
単に「保留」と訳すだけでは、ペンディングが持つニュアンスを完全には捉えきれない
「保留」は日本語として幅広く使われる一方で、「ペンディング」はより具体的なビジネスの文脈で使用されることが多い
「保留」を使用するより「ペンディング」を使用した方が、その事態の一時性と、積極的な対応姿勢を示すことができる
ペンディングの使い方
コミュニケーションにおける言葉として使用するだけでなく、ビジネスにおける状況に適用することも可能
経営者やチームリーダーにとってのビジネススキルとしても機能する
ペンディングを使う時の注意点
ペンディングの理由、次のステップやタイムラインを受け手に伝える
ペンディングと混同しやすい言葉
ペンディング:ある案件や決定を一時保留している状態
キャンセル:計画や契約が終了 予定や契約などを取り消すこと
リスケ:予定や日程を延期して変更し、再度組み直すこと
「ペンディング」の明確な意味や使い方を理解できましたか?これであなたもビジネスにおいて相手のメッセージや指示を正確に理解することができたり、実際にペンディングを使用し、明瞭かつ効率的なコミュニケーションやビジネスプロセスの最適化、成功に向けて効果的な意思決定に役立てたりすることができるでしょう。
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