ブログ記事一覧に戻る
Blog Img

早期退職制度(ERP)の落とし穴?退職後1年半かけて転職されたある中間管理職の方の実例

​もし現在の会社から希望退職制度利用の募集があったら、あなたは応募しますか?元々転職を考えていた場合には渡りに船ですし、何より退職金の割増支給は非常に魅力的です。ただ、この制度を利用するには、メリットとともにデメリットも十分考慮しなければなりません。

今回は、この制度を利用して早期退職をされたのち、エイペックスとともに1年半もの長い期間をかけて転職をしたある40代のハイクラス人材の方の転職事例をご紹介します。

 

早期希望退職制度(ERP)の利用を決意

Aさんは、ある中堅外資系企業でマーケティングポジションを経た後、シニアプロダクトマネージャーとして活躍されていたとても優秀な40代後半の中間管理職の方です。

しかし、希望退職者の募集とともに大幅な組織再編が明らかとなり、モチベーションの維持に不安を感じて早期希望退職に手を挙げることにしました。

早期希望退職制度では、企業側も社員の再就職支援として転職エージェントを紹介するケースがあります。Aさんは会社のサポートに加えエイペックスの転職支援も同時に活用しようと思い、エイペックスとの初面談にいらっしゃいました。

Aさんの第一印象は、さすがに長く部下を率いてきた実績があるだけに高いコミュニケーション力と行動力、質問も的を射て即断力もあるという企業側からすれば非常に魅力的な人材でした。

退職理由も、既存のマーケティング手法に囚われない多様なマーケティング活動に携わりたい、もっと違う製品の大きな市場でスキルアップを目指したい、ととても前向きなものです。

40代後半とはいえ、Aさんの実績や経験、マネージャー向きの性格も考慮すれば、すぐに希望のポジションに就けるだろうと私たちは思っていました。しかし、ここから長いAさんの転職活動が始まったのです。

 

素晴らしい経歴なのに不採用の連鎖に

いくつか希望のポジションに応募後、すぐに豊富なパイプラインを持つ外資系企業の一次面接に進みました。が、別候補者との兼ね合いから最終面接で不採用になります。その後すぐに別の企業の最終面接にも進まれましたが、突然の会社都合で白紙になるアクシデントに見舞われます。

退職から出来れば3か月以内、長くても半年以内に再就職が理想です。転職市場にはあなただけがいるわけではなく、採用側はブランクの長いあなたよりも、現役でビジネス勘も鈍化していないライバルを選ぶ確率がどんどん高くなっていきます。あなたの市場価値が下がるにつれ、場合によっては希望条件を見直す必要にも迫られてきます。

最初にエイペックスで面談をしてから半年が経つまで、Aさんは10社の採用面接を受けましたがオファー(内定)には至らず、また、6次面接まで至ったケースもあり非常に非効率的な状況となってきました。

私たちは、なぜこんなに素晴らしい経歴の持ち主にここまで内定が出ないのか疑問になり、再度Aさんと面談し模擬面接を行いました。

 

面接官は何を知りたいのか?マネージャー職に求められる答えとは

模擬面接で判明したのは、Aさんの経験や能力不足ではなくアピールの仕方の問題でした。採用側が知りたいのは、「本当にこの人に我々の製品、もしくはプロジェクトを任せられるのか?」ということ。そのため、「あなたの実績は何ですか?どのようにそれを成功させたのですか?」という成功ストーリーが知りたいのです。その際、応募者側は具体的な事例を基に、どうやって戦略を立て実行し、自身のどんな強みが成功につながったのか、ということを的確に説明しなければなりません。

Aさんの場合、詳細を説明しすぎて逆効果となっていたのです。マーケティングやコマーシャル系のポジションの場合、戦略や立案に重きを置いて説明し、自身のどんな強みがプロジェクトの成功を招いたのか?というブレーンの話を端的にするべきです。細々と実行部分の話をされても「実際のオペレーションはできるけど、戦略は立てられるの?」という懸念につながり採用側には響かない、ということです。

多くの落とし穴のある早期退職制度

結果的にAさんは43社に履歴書を送付、合計21回の採用面接を受け、退職から約1年半後に内定獲得後再就職されました。給与はなんとか前職を維持しましたが、無職になった時点で現給は0円ですから採用側に有利な交渉となることは否めません。それでも希望どおりのポジションであれば良いのですが、選べる余裕もなくなってきます。

早期退職制度(ERP)は一見そのメリットに目が行きがちですが、リスクも大きいのです。企業にもよりますが、ERPには退職日の制限があることが多く(つまり、指定された退職日前には退職ができない)、「在職中に転職活動をすればいいや」と思ってもタイミングが非常に難しく、そのために希望どおりのポジションに応募できないこともあるのです。逆に、「退職してからゆっくり探せばいいや」と思っても、4050の転職はすぐには決まりにくい上、同じ会社からのライバルが市場に溢れているでしょう。

今回Aさんが1年半のブランクを経ても採用につながったのは、ひとえにAさんがポジティブな態度を崩さず、紹介されたポジションに全力でチャレンジし続けたことに由ります。

エイペックスも、1年半密に連絡を取り続け最後までAさんをサポートしましたが、通常どんなに良い経歴の持ち主でもご本人の市場価値が下がるにつれご紹介できるポジションも減っていくことは頭に入れておいてください。

新型コロナの影響から20201月~5月で早期・希望退職者を募った上場企業が前年同期の2倍となり、今後も増加が見込まれています。もし、今の会社から早期退職者の募集があっても、まずは慌てず条件とともにメリット・デメリットを考慮し、ご自身が思い描いているキャリアパスを優先されてください。また、転職エージェントを利用しながら日頃から情報収集を心がけておくことも、先行き不透明感が拭えない昨今ではより重要となってくるでしょう。

エイペックスのコンサルタントにキャリア面談を申し込む

最新の転職市場の動向など、

転職・人材に関するブログ記事はこちら