製薬業界は男性社員が多いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実はその中でも特にCRO(医薬品開発業務受託機関)には女性社員の比率が高い会社が多いのはご存じでしょうか?
今回は「なぜCROは女性にとって働きやすいのか」、その理由を現役のCRAが考察してみました。それを踏まえたうえで、現役のCRAだからこそ分かるCROへの転職成功のポイントも解説していますので、CROに興味を持つ女性の方はぜひ最後まで読んでみてください!
目次
CROで働くCRA(臨床開発モニター)とは?
CROに女性が多い4つの理由
大手CROの男女比
転職活動でアピールすべきスキルは?
CROで働くCRA(臨床開発モニター)とは?
CROに就職する場合、主にCRA(Clinical Research Associate)と呼ばれる臨床開発モニターとして働くのが一般的です。治験とよばれる医薬品の臨床開発試験が医療機関において正しく行われているかをチェックするモニタリング業務が主な仕事で、試験を正確かつスピーディーに進めていくことが大きな役目となります。おおまかにはCRAの仕事は外勤と内勤に分かれており、医療機関を訪問して治験の進捗状況確認したり医療スタッフやCRC(治験コーディネーター)と情報交換を行う外勤業務と、報告書の作成やCRF(症例報告書)のチェックを行う内勤業務に分かれます。
CROに女性が多い理由
もちろん企業によって比率は違いますが、現役CRAとしての肌感覚はCRO社員の6割は女性であり、他社からの転職希望者や派遣社員も女性が多いため、実際にCROは女性にとって人気の業種と言えるでしょう。
しかし、CRAは業務で作成する書類の種類も量も多く、医療機関への訪問で出張も多いイメージですが、それでもなぜ女性社員が多く在籍しているのでしょうか?
現役CRAが考える女性社員にCROが人気の理由は4つ
キャリアプランが豊富
転勤がほぼない
柔軟な働き方が出来る
仕事相手に女性が多い
ここからは、なぜCROに女性社員が多く在籍しているのか4つの理由を詳しく解説していきます。ぜひ、今後の転職で業界を選ぶときの参考にしてみてください。
キャリアプランが豊富:特に女性の場合、出産や子育て等で働き方を変えなければならないことがあります。CROでは、外勤や突発的な予定変更が多いCRAから、内勤かつスケジュール管理がしやすい職種にキャリアチェンジすることが比較的容易です。CRAをサポーする部署や契約書などを専門に作成する部署、書類のクオリティチェックの部署などがありますので、ライフステージに合わせて働き方が選べる点は女性にとって大きな魅力でしょう。
また、CROには様々な部署があり、CRAとして医薬品・医療機器等の開発現場で様々な経験を積んでいけば、CRA以外にも多くの働き方が選べるようになります。製品の市販後調査を行うPMSモニターや、治験で得た症例データを入力するデータマネジメント(DM)など、経験と自身の志向によってキャリアチェンジの選択肢が多くある他、CRAとしてのキャリアアップを目指す場合には、プロジェクトマネージャーやラインマネージャーといった職種もあります。転勤がほぼない:例えば製薬企業やCSOに勤めるMR(メディカル・レプレゼンタティブ)の場合、全国どこでも転勤の可能性があることが多いですが、大手CROの場合は東京もしくは大阪に本社があります。希望すればどちらの勤務地でも異動出来るCROがほとんどなので、自分の意志で勤務地が決められる点も自由度が高いと言えます。居住地を変えたくないと考えている方はもちろん、結婚されている方や子育て中の方にとっては、勤務地がほぼ変わらない職場というのは安心して働ける要因の一つでしょう。
柔軟な働き方が出来る:CROは勤務時間や勤務場所の融通がききやすい職場であり、特に女性が働きやすいようにリモートワーク(在宅勤務)、フレックスタイム制度、産休・育休制度、時短勤務などの活用が進んでいる業界です。CRAはもちろんですが、それ以外の部署であっても条件付きでのリモートワークやフレックスタイムなどが適用出来る場合が多いため、小さい子供がいる場合や家族の体調が優れないなど突発的なトラブルにも対応しやすく、安心して働ける環境と言えるでしょう。
仕事相手に女性が多い:CROのクライアントは製薬メーカーと治験担当医師になりますが、直接やり取りを交わす相手はCRCや看護師などの病院スタッフがほとんどです。CRCは看護師出身の方が多く、病院に勤務する看護師も圧倒的に女性です。そこで、CRAは仕事相手である彼女らに無理なお願いをしたり、間違いを正したりと言いにくいことを伝える必要があり、女性相手に円滑に仕事を進めていく高いコミュニケーションスキルが求められます。男性CRAだからそれが出来ないということはもちろんありませんが、女性同士の方が話しやすいと感じる人が多いことも女性社員が多い理由の一つではないでしょうか。また、CRCからCRAに転職する方も多いこともCRAの女性比率を高めていると言えます。
大手CROの男女比
ではここで、国内外の大手CROの実際の社員男女比率を見てみましょう。
会社名 | 男女比(女性管理職の割合) |
IQVIA(旧クインタイルズ) | 3:7(56%) |
パレクセル | 4:6(-) |
イーピーエス | 4:6(40%+) |
シミック | 3.4:6.6(-) |
※参考:IQVIA企業情報(https://careerforum.net/ja/company_list/2397/company_detail/)、パレクセルホームページ、イーピーエスホームページ、シミックホームページ
どの会社も女性社員が多く、グローバル最大手CROのIQVIAに至っては女性が7割かつ女性管理職が半数以上と群を抜いています。国内CROであっても女性社員は6割と、一般的な業界と比較してもかなり高い比率であることが分かります。
ちなみに、同じ製薬業界の職種であるMRは男女比8:2と圧倒的に男性社員が多く、CROはかなり女性社員が多い業界と言えるでしょう。
また、厚生労働省が発表した管理職等における女性の割合は、部長相当職8.0%、課長相当職11.6%、係長相当職18.7%となっており、CROは女性が働きやすいだけでなく、活躍しやすい業界でもあります。※参考:厚生労働省 令和4年度雇用均等基本調査
転職活動でアピールすべきスキルは?
ここまで、CROは女性がいかに働きやすいか、活躍しやすいかということをご紹介してきましたが、女性だからといって転職が有利になるということは言い切れません。
ただ、多くの女性が得意とする「スケジュール管理能力/調整力」や「コミュニケーション力」は、CRAにとって必要不可欠なスキルであることは間違いありません。CROへ転職したいと考えている女性の方は、今までのキャリアの中で培った「調整力」や「コミュニケーション力」、それをどのように活かしてどんな成果を得たのか、具体的にアピールすることが転職活動成功のポイントとなるでしょう。
CRAは、プロトコル通りに淡々とスケジュールをこなすだけでは務まりません。製薬メーカーと病院の二者の考えを汲みながら上手くコミュニケーションを取ることで、治験を正確かつスピーディーに実施するスキルがとても大切です。面接では、ぜひこのスキルをアピールしてみてください。(詳しくはこちらの記事を参照ください。)
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