皆さんは転職活動の際、履歴書や職務経歴書に加えて、キャリアシートを作成されていますか?作成された方は、定期的に見直していますか?コロナ禍前と現在とでは、各企業が重視する職務経歴書の評価基準が変わっています。転職サイトのキャリアシートを活用されている方も多いと思いますが、ここで一度見直してみてはいかがでしょうか。
本記事では、
キャリアシートの概要と履歴書や職務経歴書との違い
キャリアシートを作成する際のポイント
キャリアシートの定期的な見直しの重要性が高まる背景
などをご紹介していきます。
本記事をご覧いただくことで、キャリアシートの書き方や重要性が高まっている背景などが理解でき、転職活動に役立てることができます。ぜひご参考にしてみてください。
そもそもキャリアシートとは?
キャリアシートの意味
キャリアシートは、転職の際に必要な書類であり、これまでの経験や、習得したスキルなどをまとめたものです。転職以外にも、将来のキャリア構築に向けて活用されることがあり、その場合はキャリアプランシートの略となります。
キャリアシートを作成する目的
キャリアシートを作成する主な目的は下記の3つです。
職歴やスキルのアピール
キャリアシートは、過去の経験やスキル、実績などを盛り込み、自身の魅力を応募先の企業にアピールするために用いられます。自分の応募先の企業で活かすことのできる内容を積極的にアピールすることで、企業側に良好な印象を与えることができます。求職者と企業とのミスマッチ防止
企業は、求職者の過去の経験や現在の知識・スキルを確認することで、応募ポジションとの適合性を判断でき、求職者とのミスマッチを回避できます。同様に、求職者自身も入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するリスクを減らすことができます。キャリアの見直し
転職の目的以外にも、キャリアシートを作成することで、これまでの経験や現在のスキルを見直す棚卸しの機会が得られます。そのため、キャリアの振り返りに役立つツールとしても活用できます。
キャリアシートを英語で表現する方法
海外では、キャリアシートを使用する習慣がないため、基本的に履歴書を使用します。履歴書を英語で表現する場合、アメリカ英語では”resume”、イギリス英語では”CV” (curriculum vitae)という用語を使用します。"Resume"は履歴書と同様に経歴やスキルなどを記入しますが、”CV”では更に詳細な職務経歴などの具体的な業績を記載することができます。
ちなみに、海外の履歴書では、日本で必要とされるような、性別と年齢の記載は不要です。
キャリアシートと履歴書の違いは?
履歴書は、転職活動を行う上で応募先の企業に提出する必要がある書類です。履歴書には、学歴や氏名、住所などの個人情報を記載します。一方で、キャリアシートは主に職務経歴やスキルの詳細を詳述します。履歴書にも職務経歴を書く箇所は存在しますが、キャリアシートほど詳細に記入しないのが(一般的な)特徴です。
キャリアシートと職務経歴書の違いは?
職務経歴書は、キャリアシートに類似し、職務経歴やスキルなどをまとめた書類のことを指します。職務経歴書には、基本的に会社内で得たスキルや経験、業務内容を記載します。反対に、キャリアシートでは、職歴が限られている際に、ボランティア経験から得た学びなど、自己アピールを強調する内容を記載するのに活用されます。
キャリアシートの作成や見直しが重要になってきている背景
書類審査の重みが増している
コロナ禍以降WEB面接が増えた今、従来の書類審査が1次面接と同等の重みで評価されていることをご存知でしょうか。対面面接が少なくなったことから、面接官が1日に割ける面接時間が比較的多くなり、その結果スタッフレベルのポジションでも、若手応募者のキャリアシートや履歴書に目を通すなどの対応時間が増え、書類審査の評価基準が向上しているのです。例えば、必要な情報がきちんと記載されている応募者とそうでない応募者を比較し、企業側が求める情報が明確に記述されている応募者を選別して、面接を進めることが日常的に行われています。
こうした背景から、特に経験やスキルが似通っている若手求職者の場合、これまでの職務経歴書の書き方だけでは、書類審査が通過しづらい可能性が高まっているのです。
より書類に詳細が求められるようになってきている
これまで多くの企業が実施してきた書類審査は、「同業や同種の経験の有無」「自社の同世代の人材と同等な経験の有無」「過去のプロジェクトやマネジメント経験から得られた成果」などを確認し、ぜひ詳細を聞いてみたいと思えた候補者に限って、面接の機会を提供していました。面接時には、職務経歴書の内容を詳しく説明することが求められ、多くの場合、それらの要望に応える流れで行われてきました。そのため、応募者の中には、職務経歴書の前面に企業の関心を引くキーワードを配置することで、面接の際に、「この経験で特に力を注いだことは何ですか?」などの質問を引き出すテクニックを用いる方も多くいました。
しかし、現在はWEB面接が主流になり、企業は1日に複数の候補者を面接することが可能となりました。そのため、これまでの経験については書類審査で事前に詳細を確認し、面接では確実に聞きたい内容を把握して臨む企業が増えています。つまり、キーワードの羅列だけでは詳細な内容が不足しているため、書類審査で落とされる可能性が大幅に増加しているのです。
従って、キャリアシートや職務経歴書には簡潔な要約だけでなく、詳細な情報を記載することが求められており、これが実現できない場合、書類審査に進むことが難しくなってきています。
キャリアシートの作成や見直しの際に使えるコツ
5W1Hを意識して文章を作成する
キャリアシートを作成する際には、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して文章を作成しましょう。これにより、読み手に対して明快な情報提供が可能となり、必要な情報を漏らすことなく文章を作成することができます。
実績の説明にはできる限り数値を用いる
自分の実績を説明する場合、具体的な数値を盛り込むことで、より説得力のある文章を作成することができます。例えば、「昨年より多く売り上げました。」や「昨年より多くの契約を取りました。」といった曖昧な表現を避け、代わりに「前年対比で売上+30%を達成」や、「昨年対比で契約件数20件増を達成」のように具体的な実績を記載すると良いでしょう。
職務経歴書に書いた内容と被っても問題はない
転職サイトへの登録方法も、一部の人々にとっては「職務経歴書に既に書いてあるから同じことを書いてもな…」と、詳細をキャリアシートに登録しない方がいます。しかし、これは非常にもったいないことです。職務経歴書と同様、転職サイトのキャリアシートにも自身の経験や実績の詳細を必ず記載しておきましょう。
書類の細部に配慮する
時折、後から登録できるだろうと「以下の部分から下は削除してください」というサイト上のテンプレート文が残っていたり、「〇〇年〇月」と正確な数字を修正し忘れて記号のまま応募してしまう方が見受けられます。これらの状況では、書類審査は「書類不備」として不合格となるケースがあります。「それくらい大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、企業はこうした基本的なことを行えない候補者を選びません。
繰り返しになりますが、特に若手応募者は経験値での差異を明確に示しにくいため、こういった細かな気遣いも評価基準に含まれます。自身が持つ経験を正確に記載し、「これくらいいいかな」と思わず、詳細な情報を登録しましょう。多くのライバルと差をつけるためにも、充実した内容のキャリアシートが不可欠になります。
キャリアシートの記入例
基本情報
まずは、氏名や性別などの基本情報を記入します。履歴書に記載した内容を記入するようにしましょう。
強みと弱み
強みを記載する際には、それを証明するストーリーや根拠を同時に述べるようにしましょう。一方で、弱みを記載する際には、それを克服するために心がけている具体的な取り組みや実践内容を述べると良いでしょう。
職務経歴
会社名や役職、職務内容を記入する際には、プロジェクトの規模感や担当した役割、工夫した点なども含めて記入しましょう。
将来のキャリアについて
過去の経験やスキルを活かして、今後の職務遂行においてどのように貢献していきたいかを記入しましょう。その際、これまで培ってきたスキルや経験を応募先の企業でどのように活用できるかについても言及しましょう。
資格や免許について
現在保持している資格や免許は、取得した順番に記載していきましょう。もし記載スペースに制限がある場合、応募先の企業に関連するる資格や免許を優先的に記載するように心がけましょう。
またこちらのページでも、自分でカスタマイズできる履歴書・職務経歴書がダウンロードできますので、ぜひ参考にされてみてください。
キャリアシートを作成する際の人材コンサルタントからのアドバイス
ここでは、キャリアシートを作成する際に気をつけていただきたい、人材コンサルタントからのアドバイスをご紹介していきます。
正しい情報を記載すること
大前提として、誤解を招かないように正しい記載をすることが重要です。提出前に、しっかりと自分が記載した情報を確認し、間違った情報が記載されていないことを確認しましょう。職務内容は、簡潔でありながらしっかりと具体性のある内容であること
職務内容には、簡潔で具体性のある内容を記載するようにしましょう。例えば、具体的にどのような業務に従事しているのかの職務内容や、部下マネジメントあり/なし(ありの場合は人数を必ず記載)、記載した業務の経験年数などです。
また、現職だけでなくすべての経験業種(会社名)と職種も書いておくと、有意義なスカウトが送られてくる可能性が高まるため、現職だけでなく、過去の職歴もできる限り記載すると良いでしょう。英語力を必ず記載すること。
外資系企業や日系グローバル企業であれば、一部の職種を除いてほとんどの企業で英語力が求められます。日本人は自身の英語力を謙遜する傾向にありますが、流暢でなくとも業務で英語が使用できるレベルであれば、堂々と「ビジネスレベル」と書くことで、スカウトの確率を上げることに繋がります。転職意欲をアピールすること
現在転職活動中であるのかそうでないのかを明確にして、転職の意欲が高いことを記載しておくとスカウトの確率も高まります。
キャリアシートを作成して定期的に見直そう!
キャリアシートは、自分の経歴やスキルなどを企業にアピールするために重要な書類です。キャリアシートを作成し、定期的に見直しを行うことで、希望する企業での採用確率が向上するでしょう。ただし、早急な転職を考えている方は、一度作成したシートの見直しを避けがちかもしれません。しかし、スキルの棚卸しや過去の経験の振り返りを定期的に行うことで、自分の強みを再認識し、アピールポイントを把握できたりします。こうした行動は新たな方向性を考えるきっかけとなり、次なるチャンスが巡ってくることもよくあります。
これからはジョブ型雇用がますます主流とされる時代に突入しています。積極的に時代の変化に適応し、動き続けることが大切です。ぜひ一度、自身の職務経歴書や登録したキャリアシートを見直してみてはいかがでしょうか。