4月から転職などで新天地に赴く方も多いこの季節。少しの不安と大きな期待を胸に、あれこれと新しい職場での仕事や自分自身を想像していることでしょう。しかし多くの人が、そんな入社前の期待と入社後のズレに戸惑いを感じることが多いのも事実。特に意識しておきたい入社後の期待値ギャップとは何か?その対策を交えてご紹介します。
転職時における期待値ギャップとは?
あなたはキャリアアップを目指し、これまでの職務経験を活かして自分自身も成長できそうな次の職場を選択し、そのポジションに応募します。採用面接ではこれまでの経験や持っている知識・スキルについて語り、双方がお互いのマッチングと今後の働き方を想像しながら晴れて採用となるわけです。
ところが早ければ入社初日、「想像と違った!」と自身が思い描いていた内容とのギャップが生じるケースがあります。その「想像していた内容」とは、「社風」であったり、「上司、部下、同僚などの人間関係」、「仕事内容」であったりするでしょう。
特に「仕事内容」に関しては、入社前に契約書等で十分確認していますし、文書で見る内容と与えられる業務内容は一致しているはずです。何も問題はありません。にもかかわらず、想像していた仕事と違うわけです。
一体何が起こったのでしょうか。
想像していた「仕事」と違う?
入社前に想定していた仕事内容と、与えられる業務内容には大きく違いはないはずです。ところが、気付きにくいのが仕事の進め方が想定と違う可能性があることです。一例ですが、前の職場では自動的に一定のデータが算出されるツールが基幹システムに搭載されていたとしましょう。これまでは、前日のデータを翌朝出勤したらすぐに抽出して業務に取り掛かるという動きをしていたとします。しかし新しい会社では、前日前のデータを翌日の午前中に集計し、業務に取り掛かるのは午後です。これまでよりも生産性が低い進め方に、「期待値」と異なることでモチベーションが下がることもあり得ます。
想像していた「人」と違う?
一方、受け入れ側はどうでしょうか。
前職での経験を買われ、エース級の管理職として入社した転職者。当然、前の職場の基幹システムのことなど誰も知りません。前日のデータの抽出方法すら分からず若手に聞いている状態で、「新しく来た人、Excelもできないの?」という声が事務方からあがってきそうです。部下たちは午後一番に実務に取り掛かっているにもかかわらず、なかなか数字に結び付く仕事が開始できないまま、新しい会社の「期待値」を裏切っていないかと心配になってきます。
仕事の中身を想像することは難しい
実は、この手の話は珍しい話ではありません。
実際に新しい職場に入ってみなければわからないことはたくさんあります。郷に入っては郷に従えという言葉があるように、これまでのやり方や考え方、人との関わり方が変わることを前提とした心構えが必要です。
勘違いしてはいけないのは、転職者や異動してきた人が、新しい職場での働き方を事前に確認しなかったのが悪いわけではないということです。本来であれば、事前に受け入れ側は仕事の内容や期待していることが何かを転職者に伝え、その内容に対して新しい職場での動き方を転職者や異動者は考えるべきです。間に入っている人事部などの管理部門が事細かな仕事のやり方まで理解していることはなく、部門が欲する人材を採用できたかどうかが重要なため、期待値ギャップがあることまで想像が及ばないのは普通です。
期待値ギャップを起こさないために
まず、実際に入社する前にどれだけ期待値のすり合わせができているかが重要です。今の仕事のやり方を整理しつつ、その内容を受け入れ側に伝えるようにしましょう。業務内容や職務内容が一致すればいいわけではありません。あなたが想定している仕事の進め方も含めて、ぜひ新しいポストに就く前に現場の方と話す機会を能動的に設けましょう。ミーティングの設定や切り出しにくいことは、転職エージェントを間に入れて伝えることもできます。その会社と長い付き合いのある転職エージェントは情報の宝庫です。企業文化や職場環境、どんな人が働いているのかなど、出来るだけ期待値を埋めるようエージェントを活用して積極的に情報を収集してください。
そういった下準備をした上で、実際に入社してからはすぐに焦って結果を出そうとする必要はありません。基本に立ち返り、報連相や時間厳守、周囲の人への挨拶やコミュニケーション、その人の名前、役割を覚えるなど基本的なビジネスマナーを実践した上で、その会社独自のルールを覚えるなど新しい職場に馴染むことを最優先としましょう。そこから入社後の3か月以内が勝負です。自分に期待されていることを今一度上司と確認しながら、どのようにそれを実現できるのか計画していきましょう。