「ITスキル」は身につけたいけれど、「具体的にどんなスキルが求められているのか」、「身につけることで何がメリットとなるのか」などを明確に理解していない方も多いと思います。
そこで本記事では、ITスキルとは?の基本知識からITスキルの評価指標、ITエンジニアが習得すべきスキルや初心者におすすめのIT資格、ITスキルを身につけるメリットなどをわかりやすくお伝えします。
目次
ITスキルとは?
ITエンジニアにとってのITスキルとは?
ITエンジニアが習得したい技術スキル
ITエンジニアが習得したいソフトスキル
ITスキルを評価する2つの基準
これからのITエンジニアに求められるスキルとは?
初心者が取得を目指すべきIT資格とは?
ITスキルを身につけるメリット
IT業界専門コンサルタントからのアドバイス
IT業界への転職を成功させるために
ITスキルとは?
IT(Information Technology)スキルとは、パソコンやスマートフォンなどを扱い情報の伝達や保存・入手を行う能力の総称を指します。「ITスキル」というと専門的なスキルと思われがちですが、その定義は広く、メールの送信やWord・Excelの基本操作などもITスキルに含まれます。
昨今のIT技術の進歩と仕事や生活への浸透は著しく、ITスキルに不安のある人でもそれらに対応するために、新しい技術を覚えなければならない場面に出くわすことも多いでしょう。特にビジネスパーソンであれば、多くのITスキルを有していることでより効率的な業務の遂行が可能になるため、自身の人材としての価値を高める手段の一つにもなっています。
ITエンジニアにとってのITスキルとは?
ITエンジニアは業務の性質上、一般的な職種よりも高いITスキルが必要となります。
代表的な例でいえば、プログラミングスキルやインフラ環境構築に関するスキル、セキュリティ関連などの技術的なスキルが挙げられますが、多くの分野で高いレベルの技術スキルを持っているほどIT人材としての価値が高いといえます。
ただし、ITエンジニアとして成功するためには高度なITスキルの他にも、マネジメントスキルや交渉スキル、コミュニケーションスキルといったソフトスキルも求められます。IT業界といえども業務には人が携わっており、人に指示するスキルや交渉力がなければ業務がスムーズに進行できないためです。
今後、ITエンジニアとして活躍したい場合やさらにキャリアアップを目指す場合には、技術的なスキルとソフトスキルの両方を身につけなければならないことを覚えておきましょう。
ITエンジニアが習得したい技術スキル
では、IT技術者は具体的にどんなITスキルを習得しておけばよいのでしょうか?下記の一覧で見てみましょう。
ネットワークの知識・スキル:IoTが代表するように、昨今では仕事や生活がネットワークとつながっていることが当たり前の世界です。ITエンジニアとして働くのであれば、ネットワークの原理や構成などの基本知識は知っておく必要があります。実際の業務では度々、ネットワークの設定作業が発生することから技術的なスキルも欠かせません。
クラウドの知識・スキル:クラウドとは、ネットを経由して提供されるアプリケーションやデータを指します。さまざまな業界で利用が急増していることから、クラウドの構造や代表的なサービスは把握しておくべきです。
システム開発の現場では、クラウド上に開発環境を作成してシステムの作り込みを行っています。クラウドサービス上に環境構築ができると他のエンジニアより一歩抜き出た存在になるため、環境構築スキルはおすすめの習得スキルです。セキュリティの知識・スキル:サイバー犯罪の手口が巧妙化しており、自身の業務や会社の事業を守るためにも情報セキュリティの知識は重要です。IT業務はほぼすべてセキュリティを考慮して遂行されるため、セキュリティ担当者でなくとも情報の安全性の担保のため、以下の知識・スキルを身につけるようにしましょう。
セキュリティソフトのインストールやアプリの最新化などセキュリティの安全性を高める施策
なりすましやランサムウェアなどサイバー犯罪の手口
セキュリティの対象となる情報資産の把握
ウィルスに感染した際の対処法
プログラミングスキル:システムの開発にはプログラミングスキルが欠かせないことから、ITエンジニアなら最も習得したいスキルといえるでしょう。プログラミング言語は数多くありますが、今から取得を目指すのであればJavaもしくはPythonがおすすめであり、以下がその理由となります。
Java:Javaを扱えるとWebや組み込み系、スマートフォンアプリなどさまざまな対象開発ができる。
Python:機械学習・人工知能の開発に用いられていることから、将来性が高い。
ITエンジニアが習得したいソフトスキル
では、優秀なITエンジニアは技術スキル以外にどのようなソフトスキルに長けているのでしょうか。下記で見てみましょう。
論理的思考力:例えば設計やコーディングが正しくとも、システムの仕様に矛盾があるとエラーや予期せぬ動作の原因となります。論理的に正しいシステムを作り上げるには、ITエンジニア自身が高いレベルで論理的思考力を備えている必要があります。
トラブルが発生した際も、原因特定から対応、今後の予防策まで論理的に思考して行動する必要があり、プログラマーやシステムエンジニアなどポジションに関係なく習得しておきたいソフトスキルの一つです。プロジェクトマネジメントスキル:システム開発はプロジェクトごと、チームごとに作業することがほとんどであるため、ITエンジニアにはプロジェクトを管理する能力が欠かせません。メンバーそれぞれのタスク分担・管理はもちろん、スケジュールや予算管理、クライアントや社内からの要望調整など、ITエンジニアとしてステップアップを目指す際にはプロジェクトマネジメントスキルの有無が大きな決め手となります。
コンサルティングスキル:システムの導入や開発はクライアントの課題を解決する手段であり、そのためにはクライアントが抱える課題を正しく捉えることから始まります。昨今のITビジネスは、顧客が直面する課題を解決するソリューション提案型の比重が大きくなっており、ITエンジニアには課題抽出のためのヒアリング能力や分析力、解決のための提案力といったコンサルティングスキルがますます求められるようになっています。
※ITコンサルタントの詳しい仕事内容についてはこちらの記事をご覧ください。情報収集力:テクノロジーが進化するスピードは速く、さらに便利で効率的な技術が登場する可能性は十分にあります。ITエンジニアとして第一線で働くためには常に情報収集を怠らず、トレンドのテクノロジーや考え方を取り入れる力が必要であり、それらを業務改善やクライアントへの新たな提案に活かせるかどうかでIT人材としての付加価値が決まります。
ITスキルを評価する2つの基準
IT専門家や従業員のITスキルのレベルを評価する基準として、「ITスキル標準(ITSS)」と「ITSS+」があります。それぞれについて、下記で詳しく見ていきましょう。
①ITスキル標準(ITSS)とは?
ITスキル標準=ITSS(IT Skill Standard)とは、2002年に経済産業省が策定した指標のことで、現在はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が指標の管理をしています。
ITSSはITスキルのレベルを明確に定義し、従業員のIT能力の評価指標や教育プログラムを設計する際に役立てられており、実際に行政機関や多くの企業でこのスキルマップが導入されています。
ITSSでは以下のようにITスキルを7段階に分けて定義しており、ITエンジニアとしての「現在地」を知ることができます。
レベル1 | ITに携わる者として必要最低限の基礎知識を持っているレベル。 スキルの研鑽は積極的にする必要がある。 |
レベル2 | ITエンジニアになるために必要な知識・スキルを有しているレベル。 業務は指導者の下で行う必要がある。 |
レベル3 | ITエンジニアとして基本的な知識・スキルを持っているレベル。 業務は独力で完遂できる。 |
レベル4 | ITエンジニアとして専門性が確立しているレベル。 社内では後進の育成にも貢献できる。 |
レベル5 | ITエンジニアとして社内をリードするレベル。 社内のハイエンドプレーヤーとも呼べる存在。 |
レベル6 | 社内外を問わず、ITエンジニアとして国内をリードするレベル。 業界や市場において抜きん出た実績がある。 |
レベル7 | ITエンジニアとして世界をリードするレベル。 テクノロジーやビジネス面で市場を牽引する存在。 |
ITSSはスキルアップや人材育成の目標として活用されていることから、スキルマップの役割を果たしています。詳しい内容はIPAのホームページをご覧ください。
②ITSS+とは?
ITSS+とは、2017年(その後改訂あり)に従来のITSSに加えてIPAが設定したもので、ITエンジニアが学び直しをする際の目標となるように策定された指標です。
ITSS+では下記の4つの領域において必要とされるスキルが定義されており、ITSSと同じく7つのレベルが設定されています。
データサイエンス領域 | 大量データの分析・加工や分析結果を活用に必要なスキルを策定 |
アジャイル領域 | アジャイル開発の進め方や原則、組織作りに必要なスキルを策定 |
IoTソリューション領域 | IoTソリューションに求められる役割や各タスクの定義を策定 |
セキュリティ領域 | セキュリティ関連業務に求められるセキュリティ知識・スキルを策定 |
※詳しい内容はこちらからご覧ください。
これからのITエンジニアに求められるスキルとは?
上記で挙げたITエンジニアが習得したいスキルのほかに、業界では今後どのようなエンジニアスキルが求められていくのでしょうか。
各企業においてDXは引き続き重要なテーマとなっており、単なるIT人材というよりもDX化の需要増に対応できる先端技術を有するIT人材がこれからさらに求められると考えられています。
IPAの調査報告書によると、先端技術に含まれるのは
・デジタルビジネス / X Tech
・UX / UI / グラフィック
・AI / 人工知能 / データサイエンス
・アジャイル / DevOps
・ロボティクス / ドローン / 自動運転 / 生産システムデジタル化等
・メタバース / AR / VR
・サイバーセキュリティ
の領域となっています。
出典:「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告」(2023年度)
さらに、将来的なテクノロジーの進化を考慮すると、下記のようなAIテクノロジーを扱うスキルは需要が高いでしょう。
AIに学習させるデータ環境の構築スキル
学習データを作成するデータ処理・分析スキル
プロンプトエンジニアリング
既にコードを自動で生成するAIが登場していることから、プログラミング自体はAIが担当するようになるでしょう。AIが担当する前後の工程を人間が担当するようになるため、その点でスキルを発揮できる人材になりましょう。
AIテクノロジーに関するスキルを学ぶ際には、ディープラーニングに関する知識を証明するG検定やE検定などの資格があるとスムーズにスキルが取得できます。丁寧に解説しているサイトや教材も多いので、取得にはおすすめの検定です。
初心者が取得を目指すべきIT資格とは?
では、これからITエンジニアを目指す場合、ITスキルを身につけるにはどんな方法があるのでしょうか。
ITエンジニアになるために特定の資格は必要ありませんが、特に実務未経験者であれば何らかの資格を持っているほうが転職には有利です。
IT関連の資格はさまざまな民間事業会社やIPAが主催していますが、特に経験の浅いエンジニアであれば、まずはIPAが主催するIT資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
基本情報技術者試験:IPA主催のIT系国家試験で、レベル2に当たる。ITエンジニアの登竜門といわれ、近年は受験者のおよそ40%~50%が合格しており、まずは取得したい資格のひとつ。
応用技術情報者試験:IPA主催のレベル3のIT系国家試験。技術から管理・経営までITエンジニアとしての幅広い知識と応用力が証明でき、システム開発、IT基盤構築などで高いパフォーマンスの発揮が期待される資格。合格率はおおよそ20%強と比較的難易度が高く、レベルの高いITエンジニアとしての証明になる。
ITスキルを身につけるメリット
ITスキルは今後のキャリアアップや人材としての価値を高めるためにもぜひ身につけておきたいスキルですが、きちんと習得することで以下のようにさまざまなメリットを得ることができます。
キャリアの選択肢が広がる:ITスキルを磨くことで就職や転職、昇進や希望部署への異動などキャリアの選択肢が広がります。IT知識の高い人材は転職市場で常に優位であり、未経験の職種や業界でも挑戦できたり、新たなプロジェクトに参画できる可能性が高まります。興味があれば外資系企業に転職し、グローバルなキャリアを構築する機会にも出会えるでしょう。
高収入が期待できる:就職や転職活動を優位に進められることで今よりも高い年収で内定が獲得できたり、社内異動や昇進の機会が得られることで年収アップが期待できたりします。データサイエンスやセキュリティなど需要が高い分野ではさらに高い報酬が望めたり、本業以外にITスキルを活用した副業にも挑戦が可能になります。
成長ややりがいを実感できる:ITスキルを持つことでリーダーシップを発揮できたり、重要な任務を任される機会が増えたりします。これにより、自己成長やキャリアの成長機会が増え大きな満足感を得ることができます。
このように、ITスキルを身につけることで自身のキャリアを多様で充実したものにすることができます。
多くのITプロフェッショナルも、はじめは経験がないor浅かったはずです。今後の充実したキャリア人生のためにも、IT業界専門の人材コンサルタントに相談しながらどのような道があるのか考えていきましょう。
IT業界専門コンサルタントからのアドバイス
ここで、業界動向や学ぶべきITスキルについて、エイペックスのIT業界専門コンサルタントである幾島 俊に話を聞きました。
「昨今はAI需要の高まりからAIエンジニアポジションの募集が増えており、年収も増加傾向にあります。どの企業でも需要が高く良い条件での内定獲得が期待できることから、前述のようにこれからのITエンジニアにとって学ぶべき分野の一つとなっています。
一方、希望すればすぐにAI関連の実務に携われるかというと、環境によっては難しい場合も多くあります。今後AI等需要の高い領域に携わりキャリアアップを目指すのであれば、なるべく広く使用されているプログラミング言語を学び、スキルを身につけておくことが重要です(具体的にはこちらのランキングの上位にある言語を習得すると良いでしょう)。
ペースの速いIT業界では、常に業界情報や最新技術にアンテナを張り、しっかりと先を見据えながらキャリアを構築していきましょう。」
IT業界への転職を成功させるために
IT業界は、今後も人材不足が続くことが予想される非常に需要のある業界です。学ぶことが多くやりがいがあり、未経験者でも能力によってチャンスをつかめる土壌があります。
一方、昨今のさまざまなIT企業の登場やトレンドの移り変わりに対応するためには、プロの力を頼って情報収集するのが効率的です。転職を成功させより良いキャリアを築くために、IT業界に精通したコンサルタントが在籍する転職エージェントを選びましょう。
エイペックスでは、IT業界専門のコンサルタントが複数在籍しており、未経験からでも挑戦できる成功のためのノウハウを持っています。ご相談にいらっしゃる方はみな忙しい方ばかりのため、履歴書・職務経歴書の作成サポートや企業・製品の情報収集、想定質問の洗い出し、面接日程の調整、条件交渉など、手間のかかることを任せて効率的に転職活動ができます。キャリア相談から入社前後のフォローまで、転職活動全体を通してサポートを受けられるので、一人で転職活動をするよりもずっと安心です。
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