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面接で候補者に希望年収について尋ねる面接官

【転職での希望年収の答え方】7つのポイントとNG例・適切な年収の決め方も解説

​転職の際、面接で希望年収を聞かれると「本音を言っても良いのだろうか...」と躊躇してしまいませんか?希望年収を伝えるタイミングや伝え方一つで採用担当者に与える印象が大きく変わってしまう可能性がありながら、多くの方が戦略的なアプローチを取っていないのが現状です。

そこで本記事では、エイペックスのプロフェッショナルサービスチームに所属する人材コンサルタントのワレ・ショヨイェに、希望年収の設定方法から面接・履歴書での適切な伝え方、NG回答例、希望年収に関するよくある質問とその対処法を聞きました。

目次

  • なぜ面接官は希望年収を聞くのか?

  • 希望年収を決める4つのステップ

  • 希望年収の伝え方のポイント【履歴書編】

  • 希望年収の伝え方のポイント【面接編】

  • 希望年収の答えによくあるNG例

  • 希望年収に関するよくある質問と対策

  • 転職エージェントは年収交渉を代行してくれる

なぜ面接官は希望年収を聞くのか?

まず、なぜ面接官があなたに希望年収を聞いてくるのかを理解しましょう。ここを正しく理解していないと、高すぎる・低すぎる年収を伝えてしまうなど、交渉に失敗してしまう可能性があります。

①応募要件にマッチしているか

企業が募集する各ポジションには予算があります。例えば、年収1,000万円までと設定しているポジションに対し、どんなに良い候補者であっても1,500万円が希望であれば採用は難しくなります。特に退職で空いたポジションの場合、前任者とほぼ同じ内容の業務であれば大幅な年収増での採用は現実的ではありません。

②きちんと自己評価できているか

採用担当者は、応募者が自身のスキルや経験をどのように評価しているかを知るために、希望年収の質問をします。相場よりも高すぎる年収であれば「自信過剰な人」となり、逆に低すぎるのであれば「能力に自信がないのでは?」と思われるかもしれません。

そのためには、あなた自身がしっかりと自己分析と業界のリサーチをしたうえで希望年収を決める必要があります。業界の相場や自身の能力に基づいた客観的で説得力のある根拠を伝えることで、採用担当者はあなたを「きちんと自己分析ができる人」と評価し、信頼関係の構築につながります。

③長期的に活躍してくれそうか

年収は、候補者にとっても重要な要素であることは採用担当者も理解しています。そのため、候補者の期待値に企業側が届かなかった場合、仮に応募者が妥協して入社してもモチベーションの低下につながったり、長く続かない可能性が危惧されます。候補者側も、正当な評価に基づいた年収でないと判断した場合には、早期に応募を辞退してお互いに時間の浪費を防ぐことができます。

希望年収を決める4つのステップ

現在の年収を正しく把握しようとしている候補者の様子

では、転職時に伝えるべき適切な希望年収は、何を基準にして設定すれば良いのでしょうか?

以下は、希望年収を設定するための4つのステップです。この順番で、適切な希望年収を設定してみましょう:

  1. 源泉徴収票で現在の年収を正しく把握する

  2. 生活費などを考慮した最低年収を考える

  3. 業界と職種の相場を把握する

  4. 自身の市場価値を見極めて設定する

①源泉徴収票で現在の年収を正しく把握する

まず、源泉徴収票を参照して現在の自分の年収を正しく理解しましょう。

一口に年収といっても、基本給のほかにインセンティブや住宅手当・残業手当などの手当等も含まれています。こうした給与の内訳を把握しておけば、条件交渉の際に「基本給を重視したい」「ボーナスの比率を高めたい」など、より具体的な希望を伝えることができます。

企業側も現在の年収を必ず聞いてきますので、「基本給は700万円ですが、インセンティブが200万円くらいです。」などと細かく伝えることができます。その際は、手取り額ではなく必ず総支給額(額面)を基準にして答えましょう。

②生活費などを考慮した最低年収を考える

次に、これ以上は妥協できないという最低年収を考えておきましょう。基本生活費・家族構成・教育費などを考慮した「生活保障ライン」を算定し、希望年収の最低ラインとして意識しておくことが重要です。

特に30代以降の方は、マイホームの購入や教育費の増加など将来的に考えられる大きな出費も計算しておけば、今後どれくらいでキャリアアップ・収入アップを目指していきたいのか、キャリアプランも合わせて考えておくこともできます。

ただし面接では、「家族が増えるから」「住宅ローンがあるから」といった個人的な理由ではなく、あくまでもスキルや貢献度に基づいた希望年収を伝えるようにしましょう。

③業界と職種の相場を把握する

特に一つの会社に長期間在籍していると、同業種や同職種の年収相場に疎くなっている可能性があります。他社の同じ職種・経験年数の求人情報をチェックし、相場感を養いましょう。

業界や職種の年収相場を把握したい場合、以下のような方法があります:

  • 求人サイトや企業サイトに掲載されている求人票

  • 経済産業省の給与データや民間の業界レポート

  • 厚生労働省の職種別求人倍率(需要が高い職種ほど年収交渉の余地あり)

  • 転職エージェントの活用(現実的な希望年収の相談に乗ってくれる)

同じ職種(例えば人事)でも業界によって年収相場が違ったり、同じ業界内でも職務内容によって違いがあります。そのほかにも、外資系・内資系、企業規模、地域(東京と地方)、役職(同じマネージャーでも部下ありなのかなしなのか、など)によって年収は異なってきますので、上記の方法を使って自身の希望と相場感覚をすり合わせておくようにしましょう。

④自身の市場価値を見極めて設定する

業界や職種の年収相場を把握したら、自身の能力や経験がその相場に対しどれくらいの市場価値を持っているのかを考えましょう。具体的には、以下のような要素が市場価値を決定します:

  • 学歴・年齢・実務経験年数

  • ピープルマネジメントの経験と規模

  • 具体的な数字で示せる実績

  • 業界で頻繁に使用されるデジタル関連のスキル

  • 語学力(特に英語)

  • 業界で評価される国家資格・認定資格の有無

質が高く、多くのスキルや経験を持っていれば業界内でも高めの年収が設定でき、経験が浅い・少なければ低めということになります。もし自身の市場価値がわからない、本当に合っているか不安という方は、希望する業界に特化した転職エージェントに相談してみましょう。毎日多くの候補者に会っている人材コンサルタントは、市場の年収相場をよく把握しています。相談は無料ですので、以下のボタンからまずは登録してみてください。

各業界に特化した人材コンサルタントに年収について相談する

希望年収の伝え方のポイント【履歴書編】

①履歴書には記載しないほうが良い

履歴書には「本人希望欄」があり、ここに特記事項として希望する年収を記載することができます。

ただし、履歴書は提出しただけでまだ書類選考も通過していないということを考えれば、この段階で年収の話を持ち出すのは得策ではないでしょう。まずはあなたが優秀な人材であり、応募先ポジションにマッチしていることを履歴書で知ってもらい、面接の機会を得ることのほうが大切です。もしも企業が想定していた年収をあなたの希望が上回っていた場合、機械的に不合格となってしまうことも考えられるからです。履歴書では、希望年収の記載は控えるか、「年収については、御社の規定に従います」と書くだけに留めましょう。

②記載欄がある場合には書いてもOK

履歴書には希望年収を書かないほうが良い一方、転職エージェントを利用している場合やエントリーシートに希望年収の記載欄があった場合には、記載しても問題ありません。その場合には、上記の設定方法で導き出した根拠のある希望年収を記載しましょう。そこに、「希望年収:〇〇万円(但し応相談でお願いいたします)」などと含みを持たせて謙虚な姿勢を見せることも可能です。

希望年収の伝え方のポイント【面接編】

では、実際に面接で希望年収を伝える場合のポイントをご紹介しましょう:

  1. 面接官に聞かれたら答える

  2. 手取りではなく「総支給額」で伝える

  3. 現在の年収をもとにして答える

  4. 年収アップを希望する場合は、具体的な根拠を示す

  5. 金額に幅を持たせる方法も効果的

①面接官に聞かれたら答える

面接で希望年収を伝えるタイミングは、「面接官に聞かれたとき」です。

特に一次面接など、まだあなたの能力を十分にプレゼンできていない状態で年収の話を持ち出してしまうと、「お金にしか興味がないのか」とネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。

もし面接官から年収の話がなく、気になるようであれば2次面接~最終面接の間の「逆質問(何か質問はありますか?)」の時間に聞いてみるのが良いでしょう。面接がある程度終わっていれば、あなたの人柄や資質が伝わっているはずで、年収の話を持ち出しても悪い印象を持たれる可能性は少ないはずです。

ただしその場合でも、「仕事内容について詳細をお伝えいただきありがとうございました。あとは、もし可能であればおおよその年収をお聞きできれば幸いです。」など、感謝や熱意を伝えたあとに謙虚に持ち出してみましょう。

転職エージェントを通して面接を受けている場合:

転職エージェントは、あなたの利益を最優先にして企業と交渉してくれる存在です。もし面接で希望年収を聞かれた場合には、以下のように回答してエージェントに一存する方向に持っていくことも可能です。

  • 「希望年収についてはエージェントに伝えてありますので、直接問い合わせていただければ幸いです。」

  • 「現在の年収は〇〇万円ですが、次の職務ではそれよりも高い給与パッケージを希望しております。その点については、エージェントと相談いただければ幸いです。」

  • 「私がこのポジションに応募している動機は給与ではなく〇〇になります。もしよろしければ、給与については応募プロセスの後の段階でさらに相談させていただければ幸いです。」

②手取りではなく「総支給額」で伝える

現在の年収を尋ねられた際に共通することですが、希望年収を伝える際は必ず「総支給額」を言いましょう。

企業は、あなたに支払う総支給額を予算として考えており、所得税や社会保険料が差し引かれた手取りではなく、源泉徴収票の「支払い金額」欄に記載される額面を伝えましょう。万が一手取り額を希望年収として伝えてしまうと実際の想定よりも低い金額になり、採用担当者との間で認識のズレが生じて後々問題となる可能性があります。

③現在の年収をもとにして答える

現職と同じ職種に転職を希望している場合、現在の年収とセットにして答えると根拠として理解されやすいでしょう。例えば、「現職が800万円ですので、同じかそれ以上を希望しております。」など、現在の年収と同水準の金額を答えるのが基本となります。

ただし、求人票に記載されている金額が基準となりますので、そこから大幅に超えている場合は注意が必要です。求人票は「〇〇万円~〇〇万円」、「~〇〇万円」など幅があることがほとんどですので、自分の希望年収がそこに当てはまっているのかどうか、また「経験・能力により相談可」など企業によっては柔軟に対応してくれることもありますので、こうした但し書きがあるかどうかも事前にチェックしておきましょう。

④年収アップを希望する場合は、具体的な根拠を示す

現職よりも年収アップを希望している場合には、なぜ年収アップが適切なのか具体的な根拠を添えて説明しましょう。

「前職では年収○○万円です。基本的に御社の規程に従いたいと存じますが、△△の資格を取得したことで御社の業績アップに貢献できると考えておりますため、可能であれば年収○○万円を希望いたします。」のように、新たに取得した資格や、前職で達成した具体的な成果などを挙げ、それが転職先でどのように貢献できるかを説明しましょう。

⑤金額に幅を持たせる方法も効果的

また、金額に幅を持たせる方法も効果的です。例えば、「希望年収は1,000万円ですが、最低希望年収は800万円と考えております。ただ、最終的な金額は御社の意向に従います。」のように、希望と最低ラインを伝えつつ、企業側に裁量があることを示唆しておきましょう。そうすることで柔軟性と協調性をアピールでき、面接での評価が高まれば提示額がアップする可能性も高まります。

年収交渉について人材コンサルタントに詳しく聞く

希望年収の答えによくあるNG例

①「希望はない」と答える

企業側から希望年収を聞かれた場合、希望を伝えることは自己分析が完了していることを示すことになります。今後の信頼関係の構築のためにも、誠実に希望を伝えるようにしましょう。もし低い年収でも入社したいと考えている場合でも、最低希望年収を伝えつつ、「御社の規定に従います」と伝えれば良いでしょう。

②相場よりも低すぎる年収を答える

求人票に記載されている金額や相場よりも極端に低い年収を伝えるメリットはありません。「低い年収にすれば採用の可能性が高くなるのでは?」と考える方もいますが、面接官は希望年収の金額で採用の可否を決定するわけではなく、むしろあなたが自分に自信がないと思われたり、業界についての知識不足を疑われる可能性があります。

内定時の給与交渉で前言撤回をすれば不信感を持たれますし、我慢して入社しても待遇に不満を感じ、早期退職につながってしまいます。希望年収は、現在の年収をもとに市場の相場や自身の能力を加味して、適正と思われる年収を答えましょう。

③相場よりも高すぎる年収を答える

こちらも低すぎる年収を答えるのと一緒で、相場よりも高すぎる年収を答えると「自己分析ができていないのでは?」「業界について研究していないのか?」「適当に応募しているのでは?」と思われてしまいます。上記の希望年収の設定の仕方に従い、適切な希望年収を伝えましょう。

④選考の途中で希望年収が変わる

希望年収を伝えるタイミングが複数あった場合、異なる金額を提示すると不信感を招く原因になります。内定時の交渉の段階で急に金額をアップして伝えるのも同様ですので、希望年収はあらかじめしっかりと決めておきましょう。

⑤年収の話に多くの時間を費やす

面接は、あなたがそのポジションに最も相応しいことをアピールする場であり、お金の話に時間を費やすのはなるべく避けたいものです。面接が終わったあとに、「給与の話ばかりをしていた」という印象を面接官に残してはいけません。希望年収は、簡潔に述べるようにしましょう。

希望年収に関するよくある質問と対策

Q. 希望年収を低く言ってしまった場合はどうしたら良いですか?

A. 面接で緊張してしまい、希望年収を低く言ってしまったということもあるでしょう。このままの金額で入社してもモチベーションが上がらない、納得できない、と考える場合には、できるだけ早く訂正することが重要です。次回の面接や内定の連絡があった際に、改めて希望を伝える機会を設けましょう。

ただ、前言撤回は不信感を招く恐れがありますので、きちんとした根拠が必要です。一般的には、

  • 「別の企業から〇〇万円で内定をいただいた」

  • 「現職で昇進(昇給)が決まった」

などが効果的です。そのほかにも、

  • 「改めて業界の相場を調査した結果、同職種の求人を参考にした」

  • 「実務で必要な〇〇の資格を取得できた」

なども理由として一定の正当性はあるでしょう。

いずれにしても希望年収の訂正はマイナスイメージにつながる可能性もありますので、面接の内容にかなり手ごたえがあった場合に考えるようにしましょう。

Q. 現在の年収よりも大幅にアップした金額を提示しても大丈夫ですか?

A. 大幅な年収アップを要求する場合には、それなりの根拠が必要です。まず、転職者の平均的な年収アップの割合は5~10%と覚えておきましょう。

年収交渉は非常に繊細であり、できるだけ転職エージェントに頼るのが得策です。エイペックスを通して米系ヘルスケアカンパニーに転職されたファイナスマネージャーの方を例に挙げますと、この方は最初に30%アップという非常に高額な年収を希望されていました。この方の能力が足りないというわけではなく、企業側の印象を悪くしないためにエントリーシートには現職から10%アップの金額を記載してもらいました。その後は自身のプレゼンに集中してもらい、内定交渉についてはエイペックスに一任してもらった結果、20%近い年収アップを獲得することができました。

つまり、その金額に妥当性があったとしても、大幅な年収アップを希望する場合には自身の能力に企業が納得してから話を進めるべきだということ、できるだけ転職エージェントに任せたほうが成功の確率が上がるということです。

Q. メールで希望年収を伝える場合の注意点は?

A. 採用担当者から希望年収について問い合わせが来ることも想定されます。

提示されている金額で問題なければ、「御社の規定に従います。」「募集要項に記載の金額を前提に、私の能力を評価いただき決定してくださればと思います。」などと伝えれば良いでしょう。

もし現在の年収よりも上の金額を提示する場合には、メールでは感情や態度が伝わりにくいため、主観的な理由よりも客観的な根拠に基づいた説明を心がけましょう。例えば、「前職では○○の業務で△△の成果を上げ、××の評価をいただいておりました。そのため、希望年収は〇〇万円とさせていただきますが、基本的には御社の規定に従います。」というように、根拠を明確に示した上で希望を伝えると説得力が増します。

Q. 未経験の職種の場合、希望年収はどう設定すれば良いですか?

A. 未経験の職種に転職を希望する場合は、その業界・職種のエントリーレベルの給与相場を参考にしつつ、自分の社会人経験や関連するスキルを考慮して希望年収を設定しましょう。

「未経験の職種ではありますが、前職での○○の経験が活かせると考えており、業界の平均的な年収を参考に△△万円を希望しております。ただし、御社の規定に従う所存です。」というように、未経験であることを認めつつも活かせる経験やスキルをアピールすることで、適切な評価を得られる可能性が高まります。

転職エージェントを活用している場合、業界の平均年収額や同等の職種の現在の求人数、業界特有の注意点などに精通していますので、担当コンサルタントに相談するのが最も効率的です。

また、未経験職種への転職では「キャリアチェンジのためのコスト」として短期的には年収ダウンを受け入れつつも、入社後の成長スピードをアピールする戦略も効果的です。「入社後1年で〇〇を達成したいと思っています。」というように具体的な成長計画を示すことで、将来的な年収アップの可能性を示唆することもできます。

年収交渉を含めて転職活動にエイペックスを活用する

転職エージェントは年収交渉を代行してくれる

希望年収は謙虚に回答するのが無難でありながら、我慢して入社して後悔してしまっては転職成功とはいえません。年収の交渉は転職成功のために欠かせない重要なプロセスであり、適切なアプローチで交渉すればあなたのキャリアと生活の質を大きく向上させることができる非常に考慮すべき課題です。

エイペックスでは、交渉が難しい年収をはじめ内定時の条件交渉をあなたに代わって行うプロの転職エージェントです。日々多くの転職者の方々と向き合い、一人ひとりの市場価値を最大化してあなたの良さをあなたに代わって企業に説明しています。希望年収が決められない場合も、各業界に精通した専門のコンサルタントが年収の相場とアドバイスを提供してくれます。

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