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東京タワーと東京のスカイライン

海外企業が日本進出するには?日本のエグゼクティブサーチ会社によるまとめガイド2024

日本はGDPの世界ランキングで4位に位置しており、日本進出を目指す海外企業は常に一定数あります。海外企業が日本進出を成功させるには、日本市場の長所や短所、事業設立の注意点、手続きの仕方など、実際に進出するための最新情報を把握しておくことが重要です。本記事では、日本市場進出もしくは拡大を検討している海外企業の経営陣、戦略プランナー、事業開発担当者の方に向けて、

  • 最新の日本市場の動向

  • 必要な手続き

  • 日本進出を成功させるポイント

などをご紹介していきます。最後まで読むことで、日本進出を成功させるために必要な知識を深めることができますので、ぜひ参考にしてください。

1. 2024年の日本市場概況

渋谷交差点で道路を横断する歩行者の空中写真

日本は米国、中国、ドイツに次ぐ世界第4位の経済大国です。国際展開に適した国であり、さまざまな業界に大きなビジネスチャンスを提供しています。日本市場への進出を目指す海外企業は常に一定数あり、マーケットとして魅力的な進出先であることが伺えます。以前は欧米が中心でしたが、最近は中国、韓国、香港、インドなどのアジア圏からも参入を目指す企業が増えるようになりました。

1-1. 人口統計上のハイライト

総務省の統計データ(2024年10月21日公表)によると、日本の総人口は1億2,394万1千人です。年代別の人口データは下記の表をご覧ください。前年同月に比べ、15歳未満および15~64歳の人口は減少しているのに対し、65歳以上の人口は増加しています。日本は現在、経済力があり豊かな国である一方で、少子高齢化に伴い労働人口が減少していることが最も懸念されている国の一つです。日本の急速な高齢化と労働力人口の減少により、医薬品や医療技術、ロボット工学や高度製造ソリューション、旅行や金融サービスに至るまで、あらゆるものに対する需要が生じています。

15歳未満

1,397万1千人

15~64歳

7,371万7千人

65歳以上

3,625万3千人

 うち75歳以上

2,051万6千人

​1-2. 日本の人口の多い都道府県トップ 10 (2024)

総務省の『住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 』(2024年1月1日現在)によると、人口が最も多い都道府県は東京都で、次いで神奈川県、大阪府の順となっています。

1位

東京都

1,391万2千人

2位

神奈川県

920万9千人

3位

大阪府

877万6千人

4位

愛知県

750万1千人

5位

埼玉県

737万9千人

6位

千葉県

631万人

7位

兵庫県

542万7千人

8位

福岡県

509万5千人

9位

北海道

509万4千人

10位

静岡県

360万6千人

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を合わせると総人口が約3,700万人であり、日本の中心的な都市圏を形成しています。東京は政府、ビジネス、教育、情報、メディア、ファッション、文化の中心地で、日本の大手企業、業界団体、海外企業の多くが本社または主要支店を持つ場所です。東京の消費者は、他の地域よりも外国の製品、食品、ファッションに出会う機会が多く、消費トレンドは主に東京から広まります。

1-3. 日本のビジネス文化

日本人ビジネスマンの名刺交換

日本進出にあたり、日本のビジネス文化を理解することは、日本でビジネス関係を確立し維持するために重要です。

​まず、日本のビジネス文化では基本的なことですが、必ず「名刺」を所持しておく必要があります。海外企業の場合は、両面に二か国語(英語と日本語)で印刷するのが良いでしょう。日本は、特にビジネスにおいて人間関係を重視する文化です。日本企業は多くの場合、ビジネス関係の構築に長期的なアプローチをとります。名刺は、お互いの名前や連絡先、肩書を把握するために、一番最初の挨拶の際に交換します。

​また、日本社会では年齢が非常に意識されており、階層的で集団志向の傾向があります。そのため、日本ではグループの意思決定が重要であり、コンセンサスに達するには、欧米諸国のビジネス文化に比べると時間がかかることも心に留めておくのが良いでしょう。

2. 現在の日本市場の動向

日本市場の経済動向を表す画像

2-1. 今後日本で成長が見込める業界

日本進出を成功させるために、日本市場のどの業界にビジネスチャンスがあるのかを把握しておくことが重要な鍵となります。日本には、まだまだ成長の可能性が見込まれる分野がいくつもあります。

​今後日本市場で伸びていく業界のポイントとして、主に次の2点が挙げられます。

  • ITの発展にうまく順応できる業界

  • 超高齢社会において欠かせない商品・サービスを提供している業界

冒頭で述べたように、65歳以上の高齢者が年々増加している日本では、高齢者にスポットを当てた事業展開も成長に欠かせないといえます。医療・介護サービスをはじめ、生きがいへとつながる趣味や働き手不足を解消するためのシニア人材サービスなど、その可能性は広がっています。

IT

日本は技術とイノベーションに対する高い需要があり、特にロボティクス、AI、自動車テクノロジー、環境技術などの分野で機会が広がっています。日本のITサービス市場予測をみると、2022年の市場規模は6兆円超えで2027年度には7兆円を超える見通しです。市場規模の拡大に伴い、システムエンジニアなどのIT人材の不足が課題となっており、2030 年度には79万人ものIT人材が不足するとの予測も出ています。

ヘルスケアと医療機器

医薬品業界は、今後さらなる成長が見込めると考えられており、日本で本格的に事業を進めようと考える海外企業も増加しています。日本は高齢化社会であり、医療・ヘルスケア分野には成長の機会が多くあります。新しい医療機器、治療法、ヘルスケアソリューションを提供する企業に可能性があります。健康不安を抱える人々が増加すれば、医薬品の需要がさらに高まると考えられているのです。

物流

コロナ禍の影響でEC需要が拡大し、国内のBtoCのEC市場規模は約19兆円にも上っています。宅配便は増加傾向にあり、トラックドライバーの長時間労働が問題視されていますが、2024年4月にはドライバーの時間外労働の上限規制が適用されるため、物流業界においてさらなる人手不足が懸念されています。このため、荷物の積載効率向上や輸送ルートの最適化など、ITによる業務効率化が期待されています。

2-2. コロナ後の傾向

コロナ禍が日本のビジネス社会に与えた影響を考えると、テレワークが今後も一般的であり続けるでしょう。ただし、この新しい働き方には課題もあります。必要な機器やネットワークの整備、社内コミュニケーション・業務の進捗管理・紙書類のデジタル化などに関連する基本的なインフラ整備が求められています。

このような状況の中で、海外企業が日本のマーケットに対し技術やサービスを提供する機会は豊富にあると言えます。海外企業が日本市場に進出することは、日本経済や社会のDX化と効率化を加速させ、更なる成長につながる可能性になると期待されています。

2-3. 最新の日本市場の概況および動向のまとめ

  • 急速な高齢化と労働力人口の減少が進んでいる

  • 海外企業の多くが「東京」に本社または主要支店を持つ

  • ビジネスにおける人間関係(信頼)の構築やコンセンサスを得るのに時間を要する

  • 高齢者が年々増加している日本では、ヘルスケアと医療機器業界の成長が見込まれる

  • コロナ禍の影響により、あらゆる業界でIT技術+DX化の需要が高まっている

3. 海外企業が日本進出するメリットとデメリット

マーカーで長所短所と書かれた画像

​まずは海外企業が日本市場に進出するメリットをご紹介します。

3-1. 海外企業にとっての日本の投資環境の魅力度

経済産業省の『令和4年度我が国のグローバル化促進のための日本企業及び 外国企業の実態調査報告書 』によると、日本は、海外企業が投資先として最も魅力的であるとするアジアの国・地域3 位にランクインしました。以下、魅力的であるポイントを調査に回答した海外企業98社のコメントと併せて拠点タイプ別に整理しました。

拠点タイプ

魅力ポイント

海外企業のコメント例

R&D

研究機関の技術・製品開発力の高さ

「バイオテクノロジー分野でのハイテク開発、医薬品分野での高度な科学技術開 発が魅力的。」

地域統括

高度人材(管理職や専門職)の獲得率の高さ

「日本は優秀な人材が豊富だと感じる。」

販売

アセットマネージャーや拠点の多さ

「より多くのアセットマネージャーがいる。大手銀行の大規模な資産運用会社など は、多くの拠点を持っている。」

3-2. 海外企業にとっての日本の投資環境の「強み」

整備されたインフラ

日本の投資環境の強みの一つは、整備されたインフラです。長寿国かつ先進国である日本では、あらゆる地域に完璧な公共交通機関網が整備され、短時間での移動が容易です。これにより、ビジネス展開が効率的に行え、エリア内の移動がスムーズになります。また、先進的な通信インフラが整備されており、スピーディーな情報伝達が可能です。これらの要素が結びつき、安定した経済基盤と迅速なビジネス運営が期待でき、日本は海外企業にとって魅力的な投資先となっています。

市場の可能性

日本市場の可能性も日本への投資の魅力の一翼を担っています。日本のGDPは世界ランキング上位に位置し、経済力の高さが伺えます。この高いGDPはまだまだ成長余地があり、2.現在の日本市場の動向でも前述した通り、新たなビジネス機会が広がっていることを示唆しています。

加えて、日本人は商品やサービスの質を高く評価する傾向があります。価格よりも品質を重視する消費者文化が根付いており、これは海外企業にとって大きなチャンスとなります。高品質な商品やサービスを提供することで、価格がやや高くても成功する可能性があるのです。

社会の安定性

安定した社会も日本の投資環境の強みの一つです。日本は政治的に安定しており、社会インフラの整備や法的制度の確立においても高い水準を誇ります。これにより、企業は安定した環境で事業展開が可能であり、長期的な視点での投資が容易です。

​3-3. 海外企業にとっての日本の投資環境の「弱み」

メリットを理解した次は、海外企業が日本進出する際のデメリットも把握しておきましょう。

英語の普及率の低さ

日本では、公用語としての日本語が主流であり、ビジネスの場でも多くのコミュニケーションが日本語で行われます。また、多くの法的文書や契約は日本語で作成され、正式な手続きも日本語で行われることがほとんどです。一般的な推計によれば、日本において英語が流暢な人口は全体の10%未満と考えられています。そのため、円滑な交渉や取引において課題に直面することが多いでしょう。

行政手続きの複雑さ

日本市場への参入は、多くの規制、許可、認証、手続きが必要で、これらは英国や米国など他の国々で一般的に必要とされない範囲にまで及んでいます。海外企業は、この複雑な手続きに対処する際に苦労することがあります。日本は官民一体の協力体制が根付いている一方で、官僚主義の影響も見られる社会構造を持っていることもそれらの原因と考えられます。

ビジネスコストの高さ

海外企業が日本でビジネスを展開する際のコストは、一般的に他の国に比べて高いとされています。例えば人件費や不動産コストが挙げられます。商業用不動産の賃貸料や購入コストが高いため、オフィスや店舗の確保が他国に比べてコストがかさむことがあります。

4. 海外企業が日本進出する際の投資形態

東京と世界の各都市との接続を表す

経済産業省の『令和4年度我が国のグローバル化促進のための日本企業及び 外国企業の実態調査報告書 』よると、海外企業が日本への新規参入又は投資拡大するに当たり、どのような投資形態が望ましいかについて調査したところ、多くの企業が注目しているのは、「日本企業との業務提携」(73社)で、その差は大きく、次に「企業買収による投資」(37社)が続きました。一方で、「少数株式取得による投資」に関しては、希望する企業は存在しなかったようです。

日本市場への新規参入にあたり「日本企業との業務提携は大規模な投資なしに提携を実現する最適な方法である(アメリカ、サービス・小売)」や、「日本市場は成熟し保守的な市場であるため、海外からの独自参入が難しい(ノルウェー、運輸・輸送)」といった意見が挙げられ、リスクの低減や日本市場への参入の難しさを理由に、業務提携を選ぶ企業が多いようです。日本進出成功の鍵は、柔軟で効果的な提携戦略の構築にあると言えそうです。

​5. 海外企業が日本進出する際の進出形態

日本の首都圏に立ち並ぶ企業ビルの画像

海外企業が日本市場に進出する際には、通常、「駐在員事務所」、「支店」、「子会社」のいずれかの進出形態を選択することが一般的です。以下では、これらの主な進出形態に焦点を当てて見てみましょう。

5-1. 駐在員事務所

駐在員事務所とは?

駐在員事務所は、物理的なオフィススペースを日本に設ける簡易な進出形態であり、正式な登録手続きが不要です。商業活動や現地での利益獲得は想定されず、資本も持たないため、法人税の支払いが不要です。市場調査や情報収集、物品の購入、広告宣伝などの活動が可能ですが、直接的な営業活動はできません。登記は不要であり、駐在員事務所の名義での銀行口座開設や不動産賃借は通常行えません。

どんな場合に駐在員事務所を選択する?

日本市場でのビジネスの成長がどうなるかまだ見えないため市場調査を行いたい場合や、日本での販売がなく、PRや広告、または日本のビジネスパートナーとの連絡のために従業員を派遣したいが日本で税金を支払いたくない場合、といったケースが考えられます。

駐在員事務所を選択する際の注意点は?

駐在員事務所は、主に海外親会社への情報提供、広告・宣伝、市場調査、基礎調査・研究、および親会社の資産の購入と保管といった活動に限られます。

5-2. 支店

支店とは?

支店は、親会社の拡張オフィスであり、親会社の資本に基づいて商業活動を展開できます。支社が稼いだ利益や経費は親会社が管理し、年次会計に統合されます。また、支店は日本で法人税を宣告・支払う必要があり、税額は支社が生み出した利益に基づいて計算されます。海外企業が日本で継続的な事業を行う場合、登記が必要であり、支店の設置は、海外企業が日本において営業活動の拠点を設ける際に最も手軽な方法となります。

どんな場合に支店を選択する?

日本の顧客と取引するために、正式に登録された法人や日本の銀行口座が必要なケースです。日本に別の資本を持ちたくない場合、支店の設置が適切です。

支店を選択する際の注意点は?

支店には、少なくとも一人の日本に住む「日本における代表者」が必要です。

5-3. 子会社

子会社とは?

子会社は、日本の法律に基づいて設立され、海外企業が株式を所有する独立した会社です。海外企業はその日本子会社の唯一の株主となることができますが、法人であるか個人であるか、また日本人か外国人かを問わず、他の株主を持つことも可能です。海外企業が日本において子会社(日本法人)を設立する場合、日本の会社法に基づいて株式会社や合同会社といった法人形態から設立することになります。

どんな場合に子会社を選択する?

日本企業が必要な場合、または親会社に関する情報の開示を避けたい場合、あるいは親会社とは別の会計処理を行いたい場合、かつ、日本で一定の売上があり、現地でも利益が見込める場合には、支店の設置が適切です。

子会社を選択する際の注意点は?

子会社設立には十分な資金が必要であり、その調達計画を検討する必要があります。

6. 海外企業が日本進出する際の注意点

注意点を表す木のブロックの画

6-1. バイリンガル人材の確保

日本進出を考える際、特に注視すべき点の一つはバイリンガル人材の確保の難しさです。前述した通り、外国人と問題なくコミュニケーションをとれるほど英語が堪能な人材は、日本国内でも貴重な存在です。そのため、そのような人材はすでに内資系のグローバル企業や他の海外企業に確保されているケースが多く、なかなか語学が堪能な人材を確保できません。そのようなバイリンガル人材のネットワークを持つエグゼクティブサーチ会社を利用することにより、無駄なコストをかけずに優秀人材を確保できます。また、英語力だけでなく、ビジネスや業界における専門知識も求められるため、採用プロセスは慎重に行われるべきです。

短期間で確実に優秀なバイリンガル人材を確保する

6-2. 仕事に対する日本人の考え方

海外企業が日本進出を考える際、留意すべき重要な点は日本の独自のビジネス文化や仕事に対する考え方です。特に、経営方針や人事方針の異なる点が挙げられ、日本に進出する企業はこれらに適応する必要があります。例えば、解雇のプロセスが異なり、日本では一定期間の通知が必要ですが、欧米諸国では即日解雇も一般的です。同様に、残業に関する価値観や労働文化も異なり、これを理解せずに運営すると、問題が生じる可能性があります。海外企業が日本で成功するためには、日本の経営スタイルを十分に理解し、適応することが欠かせません。

6-3. すべてをローカライズする重要性

日本の消費者は独自の好みや購買行動を持っています。海外企業が日本進出するほとんどの場合、ブランドは製品やサービスを地域の好みやニーズに合わせて再設計および再開発する必要があります。また、3-3. 海外企業にとっての日本の投資環境の「弱み」にて前述した「英語の普及率の低さ」にも関わってきますが、製品やマーケティング資料、販促キャンペーン、そしてウェブサイトのラベルなどは、日本語を活用することで、地元のニーズや好みに適した形で提供されることが求められます。

7. 海外企業の日本進出を成功に導く戦略

日本での新たなビジネスパートナーシップ締結を表す画像

7-1. 地域に根ざしたマーケティング戦略の構築

多くの海外企業(ブランド)が日本市場で成功を収められなかった原因の一つは、ブランドレベルおよびマーケティング・広告の取り組みにおいて、ローカリゼーションが不足していたことです。日本語は英語とは異なる独自の言語であり、また、好みや行動が世界のトレンドと一致しないため、単なる翻訳ではなく、ローカライズされたアプローチが求められます。特に、ブランドや製品のローカライズにおいては、日本語を母語とするチームがプロセスに参加することが必要です。

◆自社ブランドの再検証

ブランド名や製品のパッケージ化に関するアプローチが問題ないか、日本語での表現が適切であるか?

◆自社製品と日本の消費者との適合性の評価

価値提案が地元市場でどのように受け入れられるか?

◆競合他社の分析

競合他社はどのような状況なのか?(日本の消費者は一般的に気に入ったブランドに対するロイヤリティが高く、日本市場においては競合他社との関係が一度確立されるとその関係を崩すことが難しい)

7-2. 信頼できるパートナーシップの構築とネットワークの活用

現地(日本)のパートナーとの戦略的な連携は、成功の大きな要素となります。現地パートナーのネットワークを活かして、法的な手続きや文化的な課題を迅速かつスムーズに解決することができます。例えば、日本の市場動向に精通したエグゼクティブサーチファームの場合、事業目標や経営課題を共有することで事業成功のための組織戦略や採用戦略の提案、実行までをワンストップで行うことができます。

事業成功のためエグゼクティブサーチファームに問い合わせる

7-3. ビジネスをスタートさせるにふさわしい人材を見つける

新たな市場においてビジネスを始める上で、特に困難で重要な課題の一つは、ふさわしい人材を見つけることです。経験豊かな優秀人材は、実際に最初のビジネス設立全体をサポートすることができます。例えば、エグゼクティブサーチファームによるリテーナーサーチは、Cレベルの経営幹部や上級管理職(CEO、営業本部長、カントリーマネージャーなど)を必要とする場合や、採用戦略決定のためのマーケットマッピングや人材サーチの詳細レポートが必要な場合に適しているため、活用することをおすすめします。

経験豊かなバイリンガル人材を確保する

ここまで述べた通り、日本進出を目指す際には日本市場や日本語を深く理解しているバイリンガル人材が必要です。信頼できる現地パートナーとふさわしい人材の確保が日本進出成功の鍵となります。業界ごとに優秀なバイリンガル人材との強いネットワークを持つエグゼクティブサーチファームの活用が組織戦略や採用戦略の構築・実行に際し非常に役立つでしょう。

​8. エグゼクティブサーチファームと連携した外資系企業の日本進出戦略の成功事例

ケストリアジャパン(エイペックス)の医療機器チームのコンサルタントであるジェイフェス・ワーズィーの写真

日本を代表するエグゼクティブサーチ会社*であるエイペックスとパートナーシップを結んだ外資系企業の事例について、エイペックスのアソシエイトディレクターであるジェイフェス・ワーズィー(以下ジェイ)にインタビューをしました。外資系企業が日本市場に進出する際の複雑なプロセスにおいて、エイペックスが果たす役割と共に、成功のカギが垣間見えます。成功の定義が子会社の設立や売上の増加だけでなく、戦略的な判断やビジネスの方向性の変更にも関連していることが理解できます。

*エイペックスは世界最大の業界団体であるKestriaグループの一員です。

​エイペックスのサポートで日本進出の決断を見直した外資系医療テクノロジー企業の事例

インタビュアーであるHaruka Sugiyamaの写真

Q1. エイペックスが日本進出を支援した成功事例を教えてください。

インタビュー回答者のJapheth Worthyの写真

A1. 型破りな成功事例ですが、アメリカの整形外科医療テクノロジー企業をサポートした時のお話をしましょう。当時、彼らは日本に子会社を設立することを検討していました。製品は既に販売されていたのですが、特定の販売代理店から手を引く計画を立てていたのです。しかし、私が日本市場に関するプレゼンテーションをした後、最終的にこの移行は「不可能」であると判断されました。この決断が、その後の彼らのビジネスにとって良い結果となりました。

インタビュアーであるHaruka Sugiyamaの写真

Q2. 彼らはなぜエイペックスに日本市場への進出を相談したのでしょうか?

インタビュー回答者のJapheth Worthyの写真

A2. エイペックスより彼らに直接連絡を取り、ビジネス状況を把握するための面談をしたのがきっかけです。私たちエイペックスが、彼らの日本の販売代理店や社内の主要人物を知っていたこと、そして日本の整形外科産業において同じコネクションを共有していたことを理由に、彼らは私たちと協力することを決定しました。

インタビュアーであるHaruka Sugiyamaの写真

Q3. 彼らより日本市場に参入する際に直面した課題について何か聞いたことはありますか?

インタビュー回答者のJapheth Worthyの写真

A3. はい。彼らの最大の課題は、販売代理店との交渉でした。彼らに限った話ではなく、この課題には直面する外資系企業は多いです。日本の販売代理店は伝統的で保守的であり、子会社を設立したい企業に対して非常に難色を示すことがあります。

インタビュアーであるHaruka Sugiyamaの写真

Q4. 彼らは日本進出に際してビジネス文化の障壁について言及しましたか?

インタビュー回答者のJapheth Worthyの写真

A4. いいえ。当時彼らは具体的な日本のビジネス文化の障壁を把握していませんでした。なので、エイペックスより文化的な障壁に関するプレゼンテーションを提供しました。具体的には、少子高齢化、伝統的な終身雇用慣行、受動的な求職者が主流であることなど、浅い人材プールに関する文化的側面を紹介しました。

インタビュアーであるHaruka Sugiyamaの写真

Q5. 日本進出を検討する外資系企業に向けて、メッセージをお願いします。

インタビュー回答者のJapheth Worthyの写真

A5. はい。皆さんへビデオメッセージをお送りします。日本語のメッセージは下記をご覧ください。

​" 最近の調査によると、日本は依然として人材採用が困難な国であり、4分の3以上の企業が、重要なポジションの採用に苦労していると回答しています。人口減少に加え世界的にも人材不足が続く中、リーダー層の人材不足はすぐに解決できるものではありません。

この困難を打開するには、厳しい状況下でも結果にコミットできるパートナーが必要となります。ダイバーシティ、インクルージョン、公平性を実現するプロフェッショナルをご紹介することも可能ですが、私たちはこれまで看過されてきた人材、つまり、あなたが望むような変革を組織にもたらすことができる優れた実績を有する人材をご紹介できることに誇りを持っています。

​私たちのヘルスケア業界*における深い知識と、結果に対するこだわりと熱意は、私たちが単にその職務に最適な人材という以上に、組織の改革者となるようなリーダーを探し出せる理由です。Kestriaに代表されるようなグローバルとのパートナーシップにより、エイペックスは現在、そして将来あなたが必要とする真のリーダーを見つけ出す優れたプロフェッショナルです。"

*エイペックスはヘルスケア業界の他に、IT、法務・コンプライアンス、人事・総務、財務・会計、コンシューマーの各専門分野を得意としています。

上記のアメリカの企業は日本進出を考えていましたが、エイペックスのサポートにより柔軟なビジョンを展開し、最終的には異なる戦略的判断をしました。このケーススタディでは、エグゼクティブサーチファームが提供した日本市場の専門的情報を元にした決断により、ビジネスの継続が可能になりました。成功は売上拡大だけでなく、市場特性への適応も必要です。

9. まとめ

会社のビルのてっぺんを見上げる男性

最新の日本市場の概況および動向のまとめ

  • 急速な高齢化と労働力人口の減少が進んでいる

  • 海外企業の多くが「東京」に本社または主要支店を持つ

  • ビジネスにおける人間関係(信頼)の構築やコンセンサスを得るのに時間を要する

  • 高齢者が年々増加している日本では、ヘルスケアと医療機器業界の成長が見込まれる

  • コロナ禍の影響により、あらゆる業界でIT技術の需要が高まっている

日本市場の強み

  • 研究機関の技術・製品開発力の高さ

  • 高度人材(管理職や専門職)の獲得率の高さ

  • アセットマネージャーや拠点の多さ

  • 整備されたインフラ

  • 市場の可能性

  • 社会の安定性

日本市場の弱み

  • 英語の普及率の低さ

  • 行政手続きの複雑さ

  • ビジネスコストの高さ

日本への3つの進出形態

  • 駐在員事務所:登記不要、法人税支払い不要、直接的案営業活動は不可

  • 支店:登記が必要、法人税支払いが必要、日本における営業活動拠点

  • 子会社:独立した子会社(日本法人)

日本進出する際の注意点

  • バイリンガル人材の確保の難しさ

  • 日本独自のビジネス文化や仕事の価値観

  • ローカリゼーションの重要性

日本進出を成功に導く戦略

  • 地域に根ざしたマーケティング戦略の構築

  • 日本のエグゼクティブサーチファームとの連携

  • 経験豊かなバイリンガル人材の確保

日本進出のメリット・デメリット、注意点を学び、手続きや戦略を明確に理解できましたか?独特な市場や文化、言語の障壁を乗り越えるには、現地(日本)のパートナー選びが非常に重要な第一歩となります。エイペックスは過去10年以上に渡り、数多くのグローバル企業やスタートアップ企業の日本進出と事業拡大をサポートしてきました。各業界のスペシャリストであり日本市場を熟知する専門チームが、特殊な日本市場での人材獲得から正式な事業開設、経営上必要な手続きや機能の調整まで、日本進出を成功に導くために全力でサポートいたします。ぜひ、お問い合わせください。

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Consultant Profile
Haruka Sugiyama

執筆者

杉山 悠

マーケティングスペシャリスト

Japheth Worthy

レビュー担当

ジェイフェス・ワーズィー

アソシエイトディレクター

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