CRAとして10年以上大手製薬メーカーで働いている方の実際の話をもとに、面接突破のコツについてまとめましたのでご紹介したいと思います。
臨機応変さが求められるのがCRA
面接対策本にも書かれているような、志望動機はこう答えた方がよい、自己アピールはこういうことを言うとウケがよい、などの想定問答集を暗記して面接に望むことはオススメできません。事前に作成した回答を暗記しているだけでは、と面接者に思われるのは、臨機応変さが求められるCRAの転職面接では印象がとても悪いのです。では、どのようにして面接に臨めばよいのでしょうか。
企業研究をしっかりやること
転職には企業研究が重要になります。新卒時の就職と違って転職の場合は社会人としての経験を積んでいますから、うまく情報を収集することによって、より実情に近い形でその企業を把握することができます。まず、製薬メーカーとCROで分けて考えてみましょう。製薬メーカーの企業研究で重要なのは、なんと言っても開発パイプラインでしょう。自分が受けようとしている会社がどのような疾患に強くて、どのような開発品目を抱えているのか、また将来的にどのような領域に力を入れていくのかを知ることは最も重要です。企業研究が甘いと、こんな失敗事例が考えられます。
面接内容の例
CRO勤務のAさんが、製薬メーカーの臨床開発部門に転職するために下記のような自己アピールをしました。
Aさん:「CROに勤務していた時代に糖尿病薬をメインにモニターをやっていたので、御社でも糖尿病薬の開発がしたい」
確かにアピールとしては正当なやり方ですが、実際はこの製薬メーカーは「糖尿病薬については競合が激しいために今後は縮小傾向にあって、現在の人員で十分対応可能。今後は癌領域に力をいれようと思って即戦力になりそうな人材をとろうとしている。」かもしれません。採用担当者は上記の発言を聞いて
面接官:「今後は糖尿病領域から癌領域にシフトしていくことは、ちゃんとホームページや決算資料に書いてあるのに、あまり読んでないのか・・・」と思うかもしれません。
面接者がプロではないことが多い採用面接では、上記のようなことで悪い形で先入観をもたれてしまいます。「自己PRに的確な情報収集と分析が得意なんて書いてあるけど、ウソっぽいな・・・」なんてことも有り得ます。
企業研究をしっかりと行うためには、事前にその企業の公式サイトをすみずみまで念入りに確認することはもちろん、上場企業であれば企業が投資家向けに発信しているIR(Investor Relations)情報や、場合によっては製薬業界専門の証券アナリストが発行している分析レポートを読むのも有効でしょう。「何もそこまでしなくても・・・」と思うかもしれませんが、この企業研究がいざというときの大逆転につながります。
面接では大逆転を狙うべし
それは、逆に面接者に質問をするときです。逆質問とは、転職者が面接者に向かって逆に質問をすることです。転職面接では新卒時と違って、逆質問のチャンスが多いのが特徴です。
タイミングとしてはやはり、面接の終盤が圧倒的に多いでしょう。ひととおり話を聞いて、最後に質問がないかどうか確認されることが多いと思います。面接の手順として、形式的に最後に質問がないかどうか聞くことが決まっている会社もあるかとは思いますが、やはり多いのは「採用するかどうか微妙なところだから、最後に質問がないかどうかを聞いて様子をみよう」という場合です。
面接途中で確実に不採用と決めた人に、最後に質問があるかどうか尋ねたりしません。つまり応募者にとっては、ここで的確な質問ができるかどうかで最後の印象が大幅に変わってくる可能性があります。では、的確な逆質問をするためにはどうしたらよいのでしょうか。先ほど触れたように、事前にしっかりと企業研究をすることです。
逆質問の例
①「御社は今後、癌領域に力を入れていくと会社のホームページや投資家向けの公式資料でも発表されています。癌領域は他の領域と比較して専門性が高い分野だと思いますが、御社では癌領域に特化した癌領域専門の臨床開発モニターの育成などの予定はありますでしょうか。」
上記の質問の例では、MR時代に抗癌剤を担当していた場合や、CRO勤務時代に抗癌剤の業務経験があるような場合には癌領域の経験のアピールになります。また、企業研究をしっかり実施しているということもあわせて伝達できます。
②「御社では現在、開発計画のプランニング担当者と臨床開発モニターが異なった部署に所属していますが、国際共同治験などが増えてくるに従って、効果的なCRA業務実施の観点から開発計画作成の早い段階でGlobal担当者との交渉が非常に重要になってくると思われます。開発計画作成段階からCRAとして業務に関わる機会はありますでしょうか。」
上記の質問では、開発計画作成という仕事に対する将来的な見通しについて個人的な意見を述べると同時に、企業研究の結果、このような意見を持っているのだということを積極的にアピールできます。このように逆質問は単なる質問ではなく、主体的な自己PRの機会として十分に活用することができます。もし逆質問の機会が与えられたら、何を質問するのかについては十分に準備をしておくことが大切ですね。