外資系企業への転職活動では、外国人社員との面接は避けて通れません。日本在住の外国人駐在員や日本愛好家が相手であれば、日本文化も理解しておりスムーズに事が運ぶでしょう。しかしマネージャー以上の重要ポジションでは、APACヘッドや本社スタッフなど海外在住の社員とのWEB面接、もし面接官が日本について何も知らない人であれば、「私日本人なんだし、わかってよ~」は相手に全く通用しません。
外国人との面接を突破するには、言葉の壁以上に文化の壁を乗り越える必要があります。ただ英語が話せるだけでは乗り切るのは難しく、反対に英語が苦手でもきちんと対策をすれば通過できるチャンスは大いにあります。ここでは読者を「海外生活経験なし、留学経験なし、英語は片言のミッドキャリア日本人」と想定して、面接を突破するアドバイスをさせていただきたいと思います。
エントリー時に付けるべきこと
面接の前に、まずは書類選考を突破しなければなりません。外資系企業に応募する場合はほぼ必ず英文履歴書を提出するように言われますが、実は英文履歴書には、アメリカ式の「Resume」とヨーロッパで広く使われる「CV (Curriculum Vitae)」の2タイプがあるのです。全体の長さや形式、個人情報を書くか伏せるか、写真の有無など、この2つには様々な違いがあるため、応募する企業の国籍に合わせて作成しましょう。ResumeとCVの違いはネット検索すると色々と情報を入手できます。また、英文カバーレターが必要になる場合もありますので、こちらを参考に作成しましょう。
外国人=アメリカ人ではありません!
「何言ってるの、当たり前でしょ?」と思われる方はスルーしてください。ただ、海外旅行経験や外国人と接した経験が少ない方だと、外国人=アメリカ人と無意識に考える方がけっこう多いんですよね。これは私達日本人が学校で教わる英語がアメリカ英語で、英語の先生がアメリカ人で、海外ニュースもアメリカに関することが多い…という環境で育ってきたため仕方がありません。
面接の相手がアメリカ人であればノープロブレム。しかし外資系企業にはイギリス人やオーストラリア人、ドイツ人、南アフリカ人と、パッと見はわからなくても様々な国籍の人が集まっています。好まれる英語もAmerican EnglishではなくBritish Englishのこともあります。もし事前に面接官の国籍がわかるのであれば、その国に関する小ネタを用意しておくと使えるかもしれませんね。また、例えばインド人やアジア人のアクセントのように異なる英語のアクセントに備えるために、YouTubeなどで色んな英語に聞き慣れておくことをお勧めします。もし面接官の国籍がわからなければ、せめて企業国籍は絶対にチェックしておきましょう。もう一度言います、外資系企業はアメリカ企業ばかりではありません!
外資系企業では英語が話せればまずOKですが、その企業の出身国の言葉を少しでも知っていればイメージアップできることもあります。大学で少し勉強しただけだし…なんてシャイにならず、一言二言しゃべってみればアイスブレーキングにもなりますよ。
外国人との面接の流れは?
外資系・日系に関わらず、外国人との英語面接は流れが違う場合があります。一般的には、下記のような面接の流れが多いようです:
ロビーなどに面接官が登場し、まずは握手からスタート。相手の目をしっかり見ながら、笑顔で固く握手します。
面接の部屋へ案内され、席を進められて着席します。
日本人との面接ルールのように、座るタイミングは決まっていませんので、状況を見ながら着席しましょう。「会社はすぐ見つけられましたか?」「今日は天気良いですね」などといった導入の会話
ほぼ必ず聞かれる最初の質問は「Tell me about yourself(あなたの事を教えてください)」
1分程度で自己紹介をします。日本のルールとは逆で、現在→過去→その前の過去の順番に話します。必ず家で時間を計りながら練習して挑みましょう!この先は日本人の面接と特に変わりません。ただしルールに縛られない外国人面接官の場合、突然別のチームメンバーやマネージャーを呼んで来たり、電話で他の人と話すように促されたりというサプライズがあるかもしれません!良くも悪くも、外国人との面接は何が起こるかわかりません。流れに身をまかせて、柔軟に対応していきましょう。
「最後に、何か質問はありますか?」はほぼ必ず最後に聞かれる質問です。
必ず質問してください。ここでの質問が合否を左右することもあるくらい大切です。
※詳しい英語面接の流れはこちらの記事をご覧ください!
外国人との面接でのマナー
基本的には「大人のマナー」で通用しますが、日本をよく知らない外国人と面接することになった際には気を付ける点がいくつかあります。日本人特有の癖は、外国人の目には不可解に思われるものも多いので、くれぐれも注意しましょう。下にいくつかの注意点をまとめてみました:
禁煙文化が進む国の人は、日本人以上にタバコ臭を気にするもの。面接前の喫煙やきつい臭いの残る行動は控えて。
バッグ、腕時計、ネクタイ、靴など目に見えてわかる高級ブランドは避けましょう。
外国人がさらっと言うユーモアやジョークにも柔軟に対応できるように、リラックスして臨みましょう。お堅いだけの真面目人間で融通が利かないと思われてしまうかも?
話す時は必ず相手の目を見ること。恥ずかしいからと目をそらして話すと、自信がない人だと思われます。
相槌のうちすぎや、意味のない笑顔に要注意。本当に聞いてるの?と思われる危険性も。
相手の言ったことがもし聞き取れなければ、きちんと「Could you repeat that?(もう一度お願いします)」と聞きなおすこと。電話やWEB面接では特に注意!分かったフリをしたり、なんとなくニコニコしてごまかしたりすると、後で痛い目を見るでしょう。
面接中に気を付けること
エイペックスの外国人コンサルタントやスタッフ数名に、日本人が外国人と面接する上で気を付けるべきことを聞いてみると、以下のようなアドバイスが挙がってきました。
とにかく自分に自信を持ち、前向きであることが大事。
業績について話す時は「We」ではなく「I」を多く使うこと。和を重んじる日本人は自己アピールが苦手で「チームのおかげで○〇を達成できたので…」と謙虚になりがちですが、面接官はあなたのチームではなく、あなた自身が何をできるのかを知りたいのです。また特に営業やマーケティング職では、業績は数字を使ってアピールした方が好印象です。「目標を〇パーセント達成しました」「〇万円売りました」と具体的に伝えましょう。これらは英文履歴書の作成でも同じです。
外国人はGeneralistよりSpecialist、ポテンシャルのある未経験者よりも即戦力のある経験者を高く評価します。応募職務を自分ならすぐに確実にこなせるというアピールを。
たとえ英語が苦手だとしても、正しい文法や細かいミスを気にせず、ゆっくりでも自信を持って話すこと。面接は電話やWEBで行われることも多いので、とにかくハッキリ話すことを心がけて。
何かしらのリーダーシップ経験は重要。もしリーダー職についたことがなければ、後輩育成の経験や、プロジェクトを率先して進めた経験などを積極的に話しましょう。
「そのような状況なら、あなたならどうしますか?」といった質問には、「私なら○○します、なぜなら○○だからです」と理由まで明確に答えましょう。英語で話す時は結論→理由の順番です。
聞かれたことを遠回しに答えない。単刀直入に要点を言うこと。
外国人面接官はアグレッシブな圧迫面接を行うことがあります。これは応募者をあえて緊張させて、プレッシャーの中でどういった反応をするのかテストするためなので、心の準備をしておきましょう。 面接官は面接では意地悪に振舞っても実際はフレンドリーな人が多いので、個人的にはとらえないこと。
英語に自信ないから…と諦めないで
会社によって必要とされる英語レベルはマチマチです。職種やポジションによっても違います。外資系企業といっても日本人ばかりの企業もあれば、全て英語で統一されている会社もあります。私達が実際にお仕事を紹介した中でも、英語が初級会話レベルで外資系企業に入社された方はたくさんいらっしゃいます。英語はあくまで仕事を遂行するための手段であり、企業は通訳のような英語ペラペラの人よりも、英語は片言でも「その仕事が確実にできる人」を求めるものです。自分の英語レベルで応募できる外資系企業を見つけたい方や、英語に自信はないけれど今後挑戦したい方、より具体的な面接アドバイスを受けたい方など、ぜひお気軽に転職エージェントにご相談ください。