ジェイフェス・ワーズィーは医療機器業界を担当する人材コンサルタントで、国内営業部長、マーケティングマネージャー/ディレクター、CEOなどを含む上級レベルのセールス&マーケティング職を専門としています。エイペックスには2011年に入社しました。
今回は彼に、医療機器業界と他業界でのキャリアの違いについての話と、医療機器業界への転職を目指す方へアドバイスをお願いしました。外資系医療機器メーカーに転職を希望する方に向けて、職種や転職の際の注意点もご紹介しているため、そちらもご覧ください。
Q. リクルートメント業界のどのような点が好きですか?
A. 私は2011年にエイペックスに入社して以来、ずっと医療機器業界のリクルーターをしています。少しだけコンシューマー業界を担当したこともありましたが、両方の業界を経験した上で医療機器の方により情熱を注ぎたいと思うようになりました。ヘルスケア分野のめまぐるしい発展を間近で感じ、最新情報を知ることが出来るのがこの仕事の醍醐味です。
Q. 医療機器業界でのキャリアと転職の特徴を教えてください
A. 医療機器業界のマーケティング職では、採用担当者は履歴書の学歴欄をかなり厳しくチェックします。候補者は大学卒業以上は当然のこと、一流大学で職務に関連した専攻をしていたことが求められます。私がコンシューマー業界のリクルーターをしていた頃は、応募する企業やブランド、製品への情熱や愛が学歴よりも重視される傾向にありました。もちろん、どのような企業でも少なからず学歴を見ていると思いますが、医療機器業界はかなり学歴重視です。例えば医療機器業界で15年間働いている人が他の医療機器企業に転職しようとした時に、20年前の学歴をチェックされ、職務内容と専攻が違うからと落とされるケースだってあります。
医療機器業界で働く人達は通常、業界間を渡り歩くようなことはなく、ほとんどの人はずっと医療機器業界で働き続けます。ただしクラス1の一般医療機器(手袋、マスク、その他の使い捨ての物)に従事する人は例外で、ヘルスケア以外やコンシューマー業界などから転職してくる人も多くいます。
医療機器業界でキャリアを積む人は、長期的に報酬が多く成功したキャリア人生を送ることができます。日本の医療機器業界は世界で2番目に大きいため、この業界は非常に潤っているのです。さらに日本では高齢化が進んでいるので、この業界は今ままで以上に必要不可欠となりました。また近年では政府の規制が緩くなったことから、さらなるチャンスが生まれ、日本に進出する外資企業や製品も増えました。
Q. 医療機器企業での面接でよくある失敗を教えてください
A. 一番よくある失敗は、応募者が何も準備をせず、企業が扱う製品のことをほとんど知らない状態で面接に臨むことです。今勤める企業と違う製品を扱う企業を受ける人の多くが、「弊社の製品について、どのような事をご存知ですか?」などと今さら質問されないだろうと勘違いしているようです。しかしこれは大きな間違いです。面接の前には、企業のことだけでなく、製品やターゲット層などについてもよく勉強しておきましょう。
面接前にするべきリサーチは、製品の機能、ユーザー、競争相手、最近のニュース、そしてもちろん製品名です。製品リサーチ不足は面接でマイナスにしか影響しません。それが原因で面接を落とされる優秀な候補者たちが多くいるのも事実です。
Q. 採用プロセスにおける最近の傾向は何ですか?
A. 医療機器企業でのマーティング職では、この数年ですが、面接やカジュアルな会話の中にAPACやグローバルの担当者が参加する傾向があります。以前は上級ポジションの面接でよく見られる傾向でしたが、今ではプロダクトマネージャーやマーケティングマネージャーレベルの面接でも起きています。文化の壁が立ちはだかるので、慣れない応募者にとっては大きな心配の種でしょう。日本人のコミュニケーションスタイルや文化は、グローバルやAPACの担当者が慣れていない場合面接に影響してしまうことがあります。ですから私はいつも候補者に、自信を持って、チームの事ばかりでなく自分の功績や成功をどんどんアピールするようにとアドバイスしています。自分が担当したプロジェクトや解決した問題について具体的に話す時、ぜひSTARメソッドを使ってみてください。Marketerであれば、数字(売り上げ高やパーセンテージなど)を使うことでAPACやグローバル担当者の心に残る存在になるでしょう。
Q. 医療機器業界への転職は大変?
A. 製品の違う企業への転職は簡単ではありません。転職して新しい事を挑戦するには大きな自信が必要です。多くの人は「新たな挑戦はしたいけれど、もうこの仕事を8年間も続けている。どうしたらいい?!」と口にします。このような人には、自分は絶対にできると信じて突き進むようにとアドバイスします。前に述べたように、製品についてしっかりリサーチすれば、面接も通過しやすくなります。
Q. 選考プロセスでは何が行われるのですか?
A. 企業によりますが、平均すると採用面接を3回行う企業が多いようです。最近では性格診断を導入している企業も増えています。上級レベルではもちろんのこと、一般ポジションでも行われることが多くなってきています。
Q. 転職を考えている人たちへ最後にアドバイスをお願いします
A. 積極的に転職に挑戦してください。変化にオープンになって、これまでずっと働いていたエリアから離れ、新しい製品領域に挑戦してみてください。もしかすると、想像以上にあなたに合っているかもしれません。製品の異なる企業へ転職する多くの人は、最初はとても緊張しています。しかし後から振り返ると、思ったほど大変ではなかったと転職者も受け入れ企業もよく言っています。新たな発見を楽しみ、多くを学んでください。ドアを開けるのに必要なのは少しの勇気です。古くから言われるように、水に入らなければ、泳ぎは覚えられませんよ!