優秀なリーダーは、長期的に職場でプラスの影響を与え続けます。その真逆タイプのリーダーは、チームの士気や生産性、モチベーションにマイナスの影響を与えてしまいます。近年の転職率が過去最高となった日本で、人材の流出を防ぎたいと思う企業にとってこれは大きく関わるテーマです。
日本の2018年1月の失業率はたったの2.4%。どの先進国が過去に経験した最低失業率よりも低い数字でした。失業率が低いというと響きは良いですが、自然失業は常にあり、必ずしも失業率が低い=市場が潤っているとは限りません。売り手市場となっている今、企業間の競争は激しさを増しました。企業が優秀な人材を確保し、流出を防ぐためにはこれまで以上に従業員へ投資することが必要です。マネージャーを新規採用し、マネージメントスキルを習得させるために教育することもその一つです。
従業員をどうにか引き留めたい。そのためには優秀なマネージャーが必要だ。もし企業がそう考えたとしたら、一体どこから優秀なマネージャーを探し出せば良いのでしょうか?「リーダーシップ能力は生まれ持った才能だ」「いや、そんなことはない」と意見がよく分かれますが、ある研究ではリーダーシップスキルは生まれながら持ったものと、後から習得できるものがあると言われています。ということは、リーダーシップ力がないと思われる従業員でも、きちんとトレーニングを受けることで必要なスキルを習得できるのです!
エイペックスが2017年にヘルスケア業界従事者を対象に行ったアンケートを基に作成した『日本のヘルスケア業界におけるキャリア調査』レポートでは、勤務先にリーダーシップ研修が導入されていると答えたのは、全回答者のたった61%でした。さらに深く見ていくと、ヘルスケア業界の中でも日系企業では導入率が低いこと、そして製薬業界がトップの導入率であることがわかりました。
エグゼクティブ向けのトレーニング不足
リーダーシップ研修は中間管理職だけが受けるべきものではありません。『日本のヘルスケア業界におけるキャリア調査』でも、日系企業に勤める上級管理職(ディレクター・エグゼクティブレベル)の80%が、勤務先でリーダーシップ研修が提供されていないと答えました。企業のトップとして事業を誘導し、目標達成のために大きな責任を任されている立場にある彼らこそ、質の高い研修が必要なのです。
目指すべきリーダーシップ研修の形
それでは、効率的なリーダーシップ研修を行うためには、どのような要素をカバーすればよいのでしょうか?そのヒントに、良い従業員研修プログラムにどのような特徴があるのかをお伝えします:
必要なスキルに焦点が当たっている
研修プログラムでは、従業員が今持っている知識・スキルと企業が求めているもののギャップを埋めるための内容が必要です。知識・スキルのギャップをはっきりさせておくことで、研修に明確なゴールができ、焦点を当てやすくなります。
企業価値に合っている
社内で戦略を練る時と同様、研修プログラムを考える時も企業価値に合わせる必要があります。短・長期的な企業のコアバリュー、ミッション、目標とのブレがない研修を提供しましょう。
定量評価が可能
研修プログラムが成功なのか否かは、定量評価なしでは正しく判断できません。目に見える形でパフォーマンス評価できれば、その結果をもとに研修を改良させることが可能になります。
内容を柔軟に変えられる
研修内容を評価しても、それを元に最新バージョンに改良できなければ意味がありません。研修プログラムは、企業で起こる様々な変化や成長に合わせて柔軟に変化できるものであるべき。もっと良いアイディアが見つかった時にそれを適用し、積極的に内容を変化させていければ、研修は劇的に良いものとなるでしょう。
良い研修プログラムの特徴についての記事は、こちらからお読みいただけます。
リーダーシップ研修には以下の要素が含まれているかがポイントです:
チームへの指示と企業目標が合っているか確認する方法
チームでのKPI(重要業績評価指標)の設定方法
モチベーションが下がったスタッフのやる気の上げ方
コミュニケーション力・対人能力の磨き方
自分自身とチームメンバーの強み・弱みの気づき方
リーダーシップ研修には良いマネージャーを育成するだけでなく、リーダー自身の職場でのモチベーションを上げるという隠れたメリットもあります。これは勤務年数の長い従業員を徐々にエグゼクティブにレベルアップしていく上で大変重要です。
もちろん、チームメンバーの強みや弱みに気づいたり、やる気をなくした部下を励ますのが元から得意な人もいるでしょう。しかし、それはごく一部かもしれません。リーダーシップ研修では、マネージャーが必要とされるスキルを責任を持って一から教育する必要があり、リーダーとして指導する立場になる従業員は正しいトレーニングを受ける権利を主張するべきです。
リーダーシップ力を上げたいと考えているマネージャーは、研修プログラムを受けたい旨を上司や人事に提案してみてはいかがでしょうか。そのような機会を得られなければ、転職して他の会社で必要なリーダーシップスキルを習得することも一つの手です。
まとめ:
多くの日本の企業は、特に上級レベルのマネージャーやエグゼクティブレベルに対し、どうやって効率的なリーダーシップ研修を導入すればよいかわからずに苦戦している。
正しいトレーニングさえ受ければ、どのようなタイプの人間も立派なリーダーになれる。
売り手市場・転職率が高くなった今の日本では、優秀なマネージャーを育成して企業として成功するために、人事は社内で正しいトレーニングを浸透させていきたいところ。
従業員は今リーダーシップ研修が必要ないと考えていても、自身の勤務先でリーダーをどうやって育成しているのか知っておくことは大切。