ブログ記事一覧に戻る
Blog Img

新薬開発に携わるCRA/CRC/CRO/SMO 4つの違いを元CRAが解説!

医薬品開発をスムーズに進めていくため必要不可欠な存在であるCROSMOCRACRC。言葉は見たことがある人もいるかもしれませんが、きちんと理解できている人は少ないかもしれません。CROとSMO、CRAとCRCは表記も似ていて、違いがわかりにくいですよね。今回は4つの違いについて元CRAがわかりやすく解説しますので、特に製薬業界の開発職へ就職・転職を考えている方は必読です!

CRO、SMO、CRA、CRCとは?

それでは、CRO、SMO、CRA、CRCそれぞれの正式名称を見てみましょう。

  • CRO:Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)

  • SMO:Site Management Organization(治験施設支援機関)

  • CRA:Clinical Research Associate(臨床開発モニター)

  • CRC:Clinical Research Coordinator(臨床研究コーディネーター)

CROとSMOはともに機関(Organization)、CRAとCRCはともに職業(AssociateもしくはCoordinator)の略称です。CRO(もしくは製薬会社)に属するのがCRA、SMO(もしくは直接病院)に雇用されるのがCRCです。CRO、SMOとも臨床試験(治験)関連の企業であり、CRA、SMOとも治験に携わる職種という点は同じですが、それぞれ役割が大きく異なります。

CROとSMOの役割の違い

CROとSMOは簡単に言うと顧客先が異なり、治験を実施する立場が違います。

CROとは、製薬会社が行う新薬の開発のうち、人に対して有効性と安全性を確認する治験に特化してプロジェクトを受託し行う機関のことです。CROの顧客先は製薬会社であり、製薬会社から出される計画に沿って治験を円滑に進める業務が主となります。

一方SMOとは、実際に治験を実施する医療機関から委託を受け、治験業務が円滑に行われるようサポートする機関です。SMOの顧客先は病院などの医療機関であり、煩雑な治験業務を支援することで医療従事者や治験事務局の負担を軽減し、普段の診察に支障が出ないよう調整することが仕事です。

共に治験に携わる機関である点は同じですが、CROは治験の「依頼・管理」SMOは治験の「実施」を行う立場という点で違います。CROは治験を管理することで治験の質とスピード向上に努め、納期までの完了という最大のミッションを達成することを、SMOは治験を実施することで医療機関の負担軽減を重視している点が大きな違いです。


CRAとCRCの仕事内容の違い

機関であるCROとSMOの違いと同じように、職種であるCRAとCRCでは治験に携わる立場が異なります。

CROに所属するCRAは、治験が医療機関において正しく行われているかをチェックする「モニタリング」と言われる業務が主な仕事です。治験を正確かつスピーディーに進行することで、データの信頼性を担保する役割を担っています。CRAは他の関連法規と合わせて、GCP(Good Clinical Practice(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令))という医薬品の開発において国際的に守らなければならない省令の遵守が求められます。

■CRAの主な役割

  1. 治験参加者(被験者)の人権が保護されているか、安全が守られているか、福祉の向上が図られているかを確認すること

  2. 計画、省令を守って治験が行われているかを確認すること

  3. 治験データの正確性を確認すること

■CRAの主な仕事

  1. 治験実施医療機関の選定・実施依頼・契約締結

  2. 治験実施状況の確認(モニタリング)

  3. 症例報告書(CRF)のチェック・回収

  4. 報告書の作成

CRAは治験実施計画書(プロトコル)であらかじめ決められた実施方法を遵守し、できるだけ早くかつ正確なデータを集めてくることを求められます。そのため、スケジュール管理能力ヒアリング能力、交渉力などが必要となる職種です。※CRAの仕事内容の詳細はこちらをご覧ください。

一方SMOに所属するCRCは、治験の調整役とも言える職種です。治験を実施する病院から依頼を受け、CRAや治験責任医師、治験事務局など関係各所と協力しながら治験業務全般をサポートするのが主な仕事です。CRCの仕事は多岐にわたるためGCPで定められたものはなく、医師の指導の下で医学的判断を伴わない治験業務サポートを行うことが仕事とされています。

■CRCの主な仕事内容

  1. 治験実施準備(プロトコルの理解、医師との協議、各部署との調整、被験者の受け入れ準備など)

  2. 被験者への対応(スクリーニング、説明文書・同意書作成、スケジュール管理、服薬指導など)

  3. 症例報告書(CRF)の作成と保管

  4. 治験関連部門、医師、治験依頼者(製薬企業・CRO)への連絡・対応

  5. 報告書の作成

CRCは医師や医療スタッフなどの病院関係者、治験を受ける患者さん、CRAの3者間の橋渡し的な役割を担っています。CRCの勤務地は治験実施機関であるため、病院内で多くの人と関わる必要があり高いコミュニケーション力調整力が求められます。特に、治験に参加する被験者のケアやサポートが重要な仕事の一つであるため、人と関わることが好きな方に向いている職業かもしれません。また、CRCはそれぞれに担当の医療機関が決まっていることが多いのですが、病院は複数の治験を同時並行で行っているため、担当施設の各治験を正確に理解しておく力プロジェクトマネジメント力も必要となります。

まとめ

このようにCRO、SMOは、両者が絶えず折衝しながら治験を進行していますが、ともに治験に参加する患者さんの安全を最優先させ、治験データの信頼性を確保することが最大の共通点です。治験は、多くの患者さんが参加してくれるからこそ成り立つもので、患者さん一人ひとりの善意を裏切らないよう、CRAもCRCも患者さんの安全第一で治験業務を実施しています。

新薬の開発に携わってみたいという方は、CRO、SMOでは未経験者から採用を行っているためそこへの就職・転職を目指すのが近道となります。さらに詳しい仕事内容や転職事情などを知りたい方は、エイペックスの製薬専門コンサルタントが実施するキャリア相談会にぜひお越しください。実績豊富なコンサルタントが、あなたの希望条件や理想のキャリアをお伺いしながら最適な案件をご提案し、転職活動を全面サポートいたします!

CRAへの転職をご希望の方はキャリア相談会へお申し込みください

最新の転職市場の動向など、

転職・人材に関するブログ記事はこちら